F1公式タイヤサプライヤーのピレリが、現行のタイヤ供給ルールを変更するのは困難だとの見方を示した。
■F1タイヤ選択の完全自由化を提案したプロスト
少し前に、現役時代に4度F1ドライバーズタイトルを獲得したアラン・プロストが、F1をもっと面白くするためには各レースでドライバーが5種類あるドライタイヤのうちどれでも自由に使えるようにすればいいとの提言を行っていた。
現在は、レースごとにドライバー1人につき合計13セットのタイヤが供給されている。しかし、ピレリはレースごとに使用できるコンパウンドを3種類に限定しており、13セットのうち最も軟らかいタイヤ1セットを予選Q3用、またそれ以外の2セットを決勝用として指定している。
今年の場合、第6戦モナコGP(5月28日決勝)以降については残りの10セットをどういう組み合わせにするかは各ドライバーが事前に申告することで自由に選べることになっている。だが、決勝では雨用タイヤを使用しない限り、必ずピレリが指定したセットを1つ以上使用し、なおかつ2種類以上のコンパウンドを使うことが義務付けられている。
だが、今季からルノーの特別アドバイザー職についたプロストは、そうした制限を一切なくし、ドライバーが決勝で使用するタイヤを完全に自由選択できるようにすれば、レースもさらに面白くなるだろうとの提言を行ったのだ。
■自由にすれば結局みんな同じ選択に?
しかし、今年からピレリのF1プロジェクト責任者を務めることになったマリオ・イゾラはそのプロストの意見に次のような反論を行った。
「もし最も硬いタイヤを選べば、レース中にピットストップを行うことなくそのタイヤだけで走り切ることができるかもしれない」
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう述べたイゾラは、次のように付け加えた。
「そして、もしそれが可能だということになれば、ほとんどのドライバーがその手を使おうとするだろう」
■異なるコンパウンドの同時装着も無理
一方、プロストはドライバーが同時に装着するタイヤも自由に選べるようにすればよいとも語っている。つまり、フロントにはミディアムタイヤを装着しリアタイヤにはスーパーソフトを装着するというように前後で違うコンパウンドを使用したり、あるいは左右のタイヤコンパウンドを違うものにしたりするということが可能になれば、さらにレースが興味深くなるだろうというわけだ。
だが、イゾラはこのアイデアに対しても次のように反論している。
「それはGTカーならうまくいくかもしれない。だが、F1カーはそれをやるにはあまりにも繊細過ぎるよ」