先週末に行われた今季のF1第3戦バーレーンGPにおいても、通常通りレースを前にドライバーたちを集めてのミーティングが行われたが、そこで大きな議論を呼んだのは第2戦中国GP決勝でセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がとったスタートポジションについてだった。
■F1スタート時のグリッドルール明確化の動き?引き金は中国でのベッテル
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によれば、多くのドライバーたちがベッテルがウエットコンディションでのスタートとなった上海インターナショナル・サーキットでスタート時にとった作戦に対して批判を行ったという。
■ルールの盲点をついて中国GP決勝をスタートしたベッテル
中国GP決勝スタート時に通常よりもかなり左側にずれた位置からスタートしたベッテルに関して、結局統括団体のFIA(国際自動車連盟)がペナルティーを科すことはなかった。現行のルールにはそうした行為を明確に禁じている項目がないためだ。
ベッテルもそうした禁止規定がないことを承知の上で、あえてぬれたラインからスタートを切りたくはなかったのだとレース後に認めていた。
フォース・インディアのチームマネジャーを務めるアンディ・スティーブンソンも、「理論的には、タイヤのいずれかひとつをスターティングボックスの中に入れておけばどこからでもスタートすることができるんだ」と現行ルールの問題点を指摘している。
■明確なルールが必要だとマッサ
だが、伝えられるところによれば、ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)、フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)などは中国でのベッテルのスタート位置について長々と反対意見を展開したという。
「彼(ベッテル)が何も言わなかったのはこのミーティングが初めてだったと思うよ」
笑いながらそう語ったマッサは、次のように付け加えた。
「ピットレーン出口のラインを横切ることが禁止されていれば、彼だってそうすることはできない。僕たちには厳格に守られるべきルールが必要だよ」
■ドライバーに「常識的対応」を求めるFIA
だが、少なくともバーレーンにおいてFIAがこの件に関する明確な基準を新たに提示することはなかった。
F1競技委員長を務めるチャーリー・ホワイティングは、レースのスタート位置についてはドライバーたちに「常識的」なアプローチをとることを求めるにとどめ、次のように語った。
「これまでの22年間において、今回と同様のことが恐らく3回あったはずだ」
「もし、1センチ単位の厳密なルールだったとしたら、中国では10人のドライバーがペナルティーを科されていただろう」
だが、マッサはこのホワイティングの説明には納得がいかないようだ。
「F1ではいくつかのことについて常識的判断をするように求められている。だけど、僕たちが知る限り、F1は常識が通用しないところなんだ」とマッサは付け加えた。