マクラーレンのエグゼクティブディレクターを務めるザック・ブラウンが、ホンダからワークスエンジンの供給を受けるという決断をしたことは完全に正しい選択だったと主張した。
2015年からホンダのパワーユニット供給を受けているマクラーレンだが、3シーズン目を迎える今季もライバルメーカーに大きく差をつけられたホンダパワーユニットのせいで大苦戦を強いられている。
■エンジンの自社製造がうわさされるマクラーレン
そんな中、近年レッドブルの要請に応える形でルノーのパワーユニットプロジェクトに参加していたマリオ・イリエンが、今年からマクラーレンのために働き始めていることが明らかとなった。
レース用エンジンの専門メーカーであるイルモアとその創設者であるイリエンは、マクラーレンの市販車部門との間で契約を結んだものだと伝えられている。
だが、イリエンと手を組んだということは、市販車事業と並行しつつ、マクラーレンが独自にF1エンジンの製造を目指しているのではないかとのうわさが強くささやかれるようになっている。
■イルモアとの関係はあくまでも市販車部門限定
だが、ブラウンはそうしたうわさを否定し、ドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』に次のように語った。
「マクラーレン・オートモーティブ(市販車部門)は別の部門なんだ」
「我々はエンジンメーカーではない。我々はレーシングチームであり、自動車メーカーなんだ。10年の間に何ができるかは分からない。だが、これは現時点の我々に関連する話題ではないよ」
■ワークスエンジン獲得という判断は間違っていなかった
昨年11月に社内の権力闘争に敗れて実権を失った前マクラーレン最高責任者のロン・デニスが、カスタマーエンジンでF1タイトルを獲得するのは不可能だと主張していたことはよく知られている。
しかし、現在のホンダパワーユニットに業を煮やしたマクラーレンは、ホンダとの契約を解消してメルセデスからパワーユニットの供給を受けようという動きに入ったともうわさされている。
ブラウンは次のように続けた。
「カスタマーエンジンでレースに勝つことは可能だ。だが、(F1を)支配するためには、もちろん我々はそれを目指しているが、ファクトリーチームであるべきなんだ」
「ホンダと一緒にやるという判断は、絶対的に正しいものだったよ」
■改良エンジンで真価が問われるホンダ
伝えられるところによれば、今季仕様のホンダパワーユニットは、内燃機関部分に基本的な設計ミスがあったと言われている。そしてホンダでは早ければF1バーレーンGP(16日決勝)の翌週にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われるF1シーズン内公式テストで新型エンジンのテストを行うようだとも言われている。
マクラーレンの判断が正しかったことを証明するためには、ホンダとしても何としても今季中盤以降には上位争いができるだけのパフォーマンスを発揮することが必要になる。