F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が、今後F1レースがスタートする際にドライバーが停止するグリッド位置について詳細なルールを定めることになるかもしれない。
■中国で問題視されたベッテルのスタート位置
F1レースが行われるサーキットでは、ホームストレート上に各車がスタート時に停止すべきグリッド位置が白線で示されている。
だが、先週末に行われたF1中国GP決勝のスタート時には、予選2番手だったセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が白線で描かれたグリッドからかなり左にずれた位置にクルマを停め、そこからスタートしていた。
レースを監督していたFIAの競技委員もそれに気付き、いったんはベッテルを審議対象としたことが発表された。だが、結局ベッテルには最終的に何のおとがめもなかった。
これに関し、レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーが疑問を呈したことも報じられている。
■ルールでは禁止されていないとベッテル
ベッテルはレース後、このスタート位置問題について質問を受けると次のように答えた。
「僕はサーキットのぬれたラインにいたくなかったんだ。そしてルールにはそうしてはならないとは一言も書かれていないよ」
結局、現時点ではこの件でベッテルにペナルティーを与える根拠となるルール規定がないことにより、中国でベッテルが罰せられることはなかったようだ。
■今後に向けて明確なルール化が必要?
だが、中国GPの競技委員を務めていた元F1ドライバーのミカ・サロは、この件に関しては今後ルールの明確化が必要だと考えていることを母国フィンランドの『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』に認めている。
サロによれば、現在のルールにおいてはスタート時に厳密に白線で描かれたグリッド内にクルマを停めるように定められていないが、これはモナコGPが開催されるモンテカルロ市街地コースのようにスタート位置がカーブを描いているサーキットなどもあり、統一的な規定を設けることが困難なためだという。
「ああいう変則的なスタートが切られたものの、我々としては、今回はベッテルにはおとがめなしとする判断をしたよ」
そう語ったサロは、次のように付け加えた。
「警告を出すこともできたかもしれない。だが、こうしたケースに向けてもっと具体的なルールを設定するほうがいいだろうね」