FIA(国際自動車連盟)が、F1中国GP決勝レースでのスピードトラップ(計測)のデータを発表した。
トップスピードはフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)で、2番手は元チームメートのバルテリ・ボッタス(メルセデス)。フェラーリは3番手にセバスチャン・ベッテル、5番手にキミ・ライコネンが入った。
■予想通りスピードでは厳しい戦いだったマクラーレン・ホンダ
事前の予想通り、マクラーレン・ホンダはスピード争いでは厳しい戦いとなった。直線が長いF1中国GPではパワー差が大きく、ドライバーやマクラーレンだけではなく、ホンダも厳しい戦いを予想していた。
実際、レースでのスピードトラップを見てみると、ストフェル・バンドーンが16番目でトップのマッサから18.9km/h遅く、フェルナンド・アロンソが18番目でトップから27.4km/h遅かった。
17番目にはルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)がいるが、これはトップを独走していたため、DRSを使用していないことが理由だ。
19番目で最下位のアントニオ・ジョビナッツィ(ザウバー)は、まだ路面が濡れている3周目でリタイアしており、濡れた路面状態で最終コーナーから十分に加速できていない中での記録だ。
バンドーンの1つ上にいる15番目のマーカス・エリクソン(ザウバー)だが、ザウバーのパワーユニットは昨年モデルのフェラーリを使用している。
■セッティングの差は?
直線のスピードトラップで速ければ、1周のタイムも速いかというと、必ずしもそうではない。しかし、レーシングカーの理想としては、パワフルなエンジンがあれば、ダウンフォースを他チームより増やして直線スピードは多少犠牲にしてもコーナーでタイムを稼いで、1周のタイムを上げていくという状態が理想だ。
エンジンパワーがあれば、セッティングの幅が拡がり、戦略が立てやすくなる、ということになる。パワーは十分ある方が良い。
■開幕戦でのスピード差は?
開幕戦では、バンドーンとアロンソにスピード差があったが、これは後方からの追い上げが決まっていたバンドーンは、ダウンフォースを減らして直線でのオーバーテイクを狙ったものだといえる。
逆にコーナーリングでは「誰にも負けない」という腕に自信があるアロンソは、開幕戦で混戦の中団グループ争いが分かっていたため、ダウンフォースを多めにしてコーナーを速く駆け抜け、他車がストレートエンドで追いつく頃には多めのダウンフォースを生かして巧みなブレーキングでブロックし、また次のコーナーへ入って逃げる、という戦略を選択していたのがわかる。
そのため、直線重視のセッティングをしていたバンドーンより、アロンソは直線スピードがかなり遅くなっていたのだろう。
また、十分に戦えないことがわかっていたチーム側としては、ドライバーごとにセッティングを変えることで、より多くのデータを収集したいという目的もあるだろう。
■あと15km/hのパワーアップを
気になるのは、アロンソが出した309.0km/hやバンドーンの317.5km/hはDRSを使用しているのに対して、トップを独走していたハミルトンの315km/hはDRSを使用していないということだ。やはりあと15〜20km/hのパワーアップが必要だ。
これがマクラーレンやドライバーたちがホンダに厳しく当たる理由だ。とにかく、F1ではパワフルなエンジンは絶対に必要だ。
十分なパワーがあれば、アロンソのダウンフォースレベルを維持したままトップ10争いも容易にできるだろう。
ホンダが開発中の次期バージョンにより、このスピードトラップでも中団グループ以上を争えることを願いたい。
■【決勝スピード計測】F1中国GP
順 | ドライバー/チーム | KPH/差 |
1 | 19F.マッサ ウィリアムズ/メルセデス |
336.4- |
2 | 77V.ボッタス メルセデス |
336.0-0.4 |
3 | 5S.ベッテル フェラーリ |
335.1-1.3 |
4 | 31E.オコン フォース・インディア/メルセデス |
332.7-3.7 |
5 | 7K.ライコネン フェラーリ |
332.7-3.7 |
6 | 8R.グロージャン ハース/フェラーリ |
332.5-3.9 |
7 | 20K.マグヌッセン ハース |
331.6-4.8 |
8 | 33M.フェルスタッペン レッドブル/タグホイヤー |
330.3-6.1 |
9 | 3D.リカルド レッドブル/タグホイヤー |
329.6-6.8 |
10 | 30J.パーマー ルノー |
328.0-8.4 |
11 | 11S.ペレス フォース・インディア/メルセデス |
327.6-8.8 |
12 | 27N.ヒュルケンベルグ ルノー |
327.6-8.8 |
13 | 55C.サインツ トロロッソ/ルノー |
325.3-11.1 |
14 | 26D.クビアト トロロッソ/ルノー |
324.3-12.1 |
15 | 9M.エリクソン ザウバー/フェラーリ(2016) |
319.9 -16.5 |
16 | 2S.バンドーン マクラーレン・ホンダ |
317.5 -18.9 |
17 | 44L.ハミルトン メルセデス |
315.5 -20.9 |
18 | 14F.アロンソ マクラーレン・ホンダ |
309.0 -27.4 |
19 | 36A.ジョビナッツィ ザウバー/フェラーリ(2016) |
301.9 -34.5 |