ザウバーF1チームが3日(月)に声明を発表し、パスカル・ウェーレインが今週末に行われるF1中国GP(9日決勝)も欠場することになり、開幕戦オーストラリアGPで代役を務めたアントニオ・ジョビナッツィ(フェラーリ/控えドライバー)が今回もザウバーから出走することを明らかにした。
■オーストラリアGPを欠場していたウェーレイン
昨年マノーでF1デビューを飾ったメルセデス所属ドライバーであるウェーレインは、今年はザウバーに移籍して2シーズン目のF1に挑戦することになっている。だが、1月に行われたROC(レース・オブ・チャンピオンズ)で乗っていた3輪レースカーがクラッシュし、首にダメージを負っていた。
そのウェーレインは、2月下旬から3月上旬にかけて2回に分けてバルセロナで行われたシーズン前テストでは、1回目は出走を見合わせたものの、2回目には無事に参加。そして開幕戦オーストラリアGPの金曜フリー走行にも出走していた。
ところが、メルボルンで金曜日の2回のフリー走行を終えた時点で、まだ58周で争われるレースを戦い抜くだけの体力がないとの理由で、急きょ土曜日からジョビナッツィにシートを譲っていた。
■復帰は第4戦ロシアGPか?
今回のザウバーの声明には、ウェーレインが中国GPと連戦となる第3戦バーレーンGP(16日決勝)に出走できるかどうかもまだはっきりしていないことが記されており、現実的には第4戦ロシアGPでの復帰の可能性が高いことをにおわせる表現が用いられている。
ウェーレイン本人は、その声明の中で次のようにコメントしている。
「僕にとって最も重要なのは、できる限り早く100%のパフォーマンスが発揮できるようにするため、集中的なトレーニングを行うことができることだ」
■不自然な出走見合わせには疑問も
だが、このウェーレインの「体調問題による出走見合わせ」というストーリーに対して疑問の目を向けている者もいる。
例えば、イギリス出身の元レーシングドライバーで、現在はテレビのプレゼンターを務めるティモシー・ニーデルは、自身のツイッターに次のようにつぶやいている。
「ウェーレインは自分の健康状態が十分ではないと思っているって? ジョビナッツィは“でも僕は体調十分じゃない”と考えたことはなかったと思うかい?」
メディアにも、今回の経緯は少し不可解だととらえているものも少なくない。
イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、ウェーレインは先週末に少なくとも中国でもまた金曜フリー走行は担当したいと思っているとコメントしていたにもかかわらず、その1日後にザウバーが上記のコメントを出したことは不自然だとの論評を行っている。
ドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』は、ウェーレインは3日(月)にはイギリスにあるメルセデスAMGのファクトリーでシミュレーター作業を行っていたと報じている。
また、『Bild(ビルト)』紙も今回のウェーレインの件はどう解釈すればいいのか疑問だと次のように書いている。
「彼は体調を取り戻すために(オーストラリアGP以降)2週間はトレーニングを積んできているはずだ。彼はかつて偉大なるアイルトン・セナの理学療法士を務めていたヨゼフ・リーベラーの指導を受けている」
「だが、ザウバーによれば、その野心的なウェーレインが自主的にレースに出ないことにしたという」
「ウェーレインはバーレーンまでには体調を取り戻すのだろうか? あるいは、これには何か裏があるのだろうか?」
■強くなって戻ってくるはずだとメルセデスのボス
ウェーレインを契約下に置くメルセデスのモータースポーツ責任者トト・ヴォルフは、ウェーレインについて次のように語っている。
「パスカルには気の毒に思う。彼にはまったくツキがなかったからね」
「今後、彼には体調を整えて強くなって戻ってくることが必要だ。彼がクルマに戻ってきたときには、以前と同じパスカルであることを証明して見せるだろうと確信しているよ」