ホンダパワーユニットの不調に業を煮やしたマクラーレンがパワーユニット供給の可能性についてメルセデスとの交渉を開始したようだとのうわさが報じられているが、どうやらこのうわさの信ぴょう性はかなり高そうだ。
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■期待を大きく裏切った2017年仕様ホンダパワーユニット
今シーズンを迎えるにあたって、共同プロジェクト開始から3シーズン目を迎えるマクラーレン・ホンダがその実力を発揮してくるだろうと考えていた者も少なくなかった。
ところが、スペインのバルセロナで2回にわたって合計8日間で行われたF1公式シーズン前テストでは、またもホンダパワーユニットの信頼性不足が露呈。加えてパフォーマンス面でも1年落ちのフェラーリパワーユニットを搭載するザウバーよりも辛うじて速いという程度でしかないことが明るみに出てしまった。
■マクラーレンが代替エンジン獲得に向けて交渉開始との報道
こうした中、イギリスの『Sun(サン)』紙は次のように報じている。
「マクラーレンはメルセデスとの間で、再び彼らのエンジンに戻す方向での話を進めていると考えられている」
また、ドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』も、マクラーレンの大株主であるマンスール・オジェが、個人的なつてでダイムラー(メルセデスの親会社)に接触を図ったとも伝えている。
さらに、スペインの『El Confidencial(コンフィデンシアル)』は、ある関係者のコメントを引用し、メルセデスだけがマクラーレンの選択肢にあるわけではなく、現在関係者の間でひっきりなしに電話でのやりとりが行われていると報じている。
■マクラーレンはホンダとの協働に専念すべきとの声も
一方で、マクラーレンとホンダの間には多額の資金提供を含む複雑な契約が結ばれており、マクラーレンとしてもそう簡単にホンダと手を切るわけにはいかないだろうという見方もある。
かつてマクラーレンに所属していたこともある元F1ドライバーのマーティン・ブランドルは『Daily Mail(デイリー・メール)』に次のように語っている。
「彼ら(マクラーレン)はホンダと手を切るわけにはいかないだろう。ホンダが(ロス)ブラウンのときのように高額の小切手を残して手を引くようなことがない限りね」
ブランドルが言及したのは、2008年シーズン終了後にF1からの撤退を決めたホンダが、当時そのワークスチームの代表を務めていたロス・ブラウンにほとんど無償でチームを譲り渡したという過去の経緯だ。
「彼らは技術的にも財政的にも非常に統合されているんだ。彼らはそれを通じて協働するしかないよ」
■アロンソもエンジンメーカー交代を示唆?
実際のところ、昨年オジェらによって更迭された前最高権威ロン・デニスの後任としてマクラーレンのマネジングディレクターに就任したザック・ブラウンは、「マクラーレンはこれまで通り、契約を尊重していく」と主張している。
だが、いくつかのメディアはすでにマクラーレンとメルセデスの間でパワーユニット供給に関する最初の話し合いが行われたのは間違いないと報じている。
先週『El Confidencial(コンフィデンシアル)』は、フェルナンド・アロンソの次のようなコメントを紹介していたが、それもその推測を裏付けるものだと考えられている。
「我々が必要とする改善はどうすれば手に入ると思う? それは最高経営レベルによる大きな決断によるだろうね」
■マクラーレンもうわさを否定せず
メルセデスはこのうわさに関してコメントを行っていない。
だが、マクラーレンの広報担当者は取材に対して次のように答えている。
「冬のテスト(バルセロナテスト)は困難で失望を伴うものだった」
「我々は、不足しているものや欠陥に対処しようとホンダとともに取り組んでいる。ホンダと一緒に、我々は選択肢についての検討も行っている。だが、メディアで報じられている推測に関してコメントを行うつもりはない」
このマクラーレンのコメントは、ホンダとの決別のうわさを否定したものではなく、報じられているうわさが事実であることを暗に認めたものだと解釈されている。