今季ウィリアムズからF1にデビューすることになっている18歳ランス・ストロールだが、バルセロナで行われている今年最初のF1公式シーズン前テストにおいて2日間で3回も基本的なミスを犯してしまった。
その中で最も大きかったのは1日(水)にバリア直撃のクラッシュを演じたことだ。ストロールにけがはなかったものの、F1カーを修理するための十分なパーツがないことから、ウィリアムズでは2日(木)に行われるテスト最終日に走行することができなくなってしまったのだ。
■ストロールに同情的な先輩たち
だが、ウィリアムズのパフォーマンスエンジニアリング責任者を務めるロブ・スメドレイは、そのことでストロールを責めるのは間違いだと次のように語った。
「僕は、あれはランスだから起こしたミスだと言うつもりはないよ。なぜなら、フェリペ(マッサ)もほぼ同じことを2度やったんだからね。彼は15年目という経験あるドライバーだよ」
ライバルチームであるメルセデスAMGのルイス・ハミルトンも、今回ストロールがミスを犯したのはしかたのないことだったと次のように擁護している。
「これは予想されていたことだよ。彼はほかのドライバーよりは多くのテストをこなしてきていた。だけど昨年のクルマは今年のものに比べればもっと楽だったんだ」
今季フォース・インディアからルノーへと移籍したニコ・ヒュルケンベルグも同意見だ。
「こういうクルマでF1を始めるのは、ルーキーにとってはさらに難しいことだよ」と通算7年目のF1シーズンを迎えるヒュルケンベルグは語った。
■自信はあるとストロール
だが、カナダファッション業界の大物であり、大富豪として知られる父親による支援もあってとんとん拍子にF1デビューまでこぎつけたストロールは、今年のF1カーは決して自分の手に負えないようなものではないと次のように主張した。
「僕がここで大物たちと一緒にやっているということとは何の関係もないよ。それはどの選手権でも同じさ。攻めた走りをすれば、そういうことだって起きるものだよ」
母国カナダの『Journal de Montreal(ジュルナル・ド・モンレアル)』にそう語ったストロールは、次のように続けた。
「覚悟はできていたし、どういうことが起きるかも分かっていたんだ。今年のタイヤのグリップはものすごいし、これからそれに慣れる必要がある」
「僕は何の問題もなく100周をこなしたし、身体的には問題ないということも示すことができた」
イタリアF4やヨーロッパF3などで着実にタイトルを取ってF1まで駆け上ってきたストロールは、次のように付け加えている。
「僕はただクルマの能力に自分のドライビングを合わせる必要があるだけだ。そして、そうするためにはまだ数日あるよ」
2015年に17歳でF1デビューを飾ったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)もすでに19歳となっており、今季はストロールが現役最年少ドライバーとなる。引退を撤回し15年目のF1シーズンを迎える大ベテランのマッサとともに若いストロールがどういう走りを見せるのかに注目だ。