前オーナーであったCVCから株式を取得し、新たなF1オーナーとなったアメリカのリバティ・メディアだが、F1関係者の中にはそれを歓迎している者たちが多いようだ。
だが、実際のところ、リバティ・メディアが今後F1をどういう方向へとかじ取りしていくことになるのか、まだはっきりとそのビジョンが見えてきているわけではない。
■自然吸気エンジン復活を望む声
例えば、技術面から見た場合、エンターテインメントでもあるF1は環境に優しいハイブリッド方式エンジンではなく、大きな音を出す自然吸気エンジンのほうが好ましいと考えている者たちも少なくないと言われている。
リバティ・メディアがモータースポーツ担当マネジングディレクターに据えたロス・ブラウンも、2021年以降に向けてF1エンジンを見直すことが必要だと発言したことが報じられている。
■ハイブリッド方式を進歩させるべきとの声
一方で、F1関係者の中には2021年以降F1は現在のハイブリッド方式エンジンをさらに前進させていくべきだと考えている者もいる。
現在最強を誇るパワーユニットを製造しているメルセデスAMGのトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)は、ドイツの『Frankfurter Allgemeine Zeitung(フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング)』に最近次のように語った。
「我々はこのハイブリッドエンジンからどうやってもっとパワーを引き出すかを考えなくてはならない」
「F1は世界最速の研究所だし、我々はそれを捨てるべきではないよ」
■将来は四輪駆動システムの導入も?
そして最近ポルトガルのメディアが報じたところによれば、2021年シーズン以降も現行のMGU-H(熱エネルギー回生システム)とMGU-K(運動エネルギー回生システム)を備えたハイブリッド方式エンジンの使用が継続されるとともに、それらが発生するパワーで前輪にも駆動力を与える四輪駆動方式がF1カーにも採用されるのではないかとのうわさもささやかれているようだ。
ポルトガルのメディア関係者は、『GMM(グローバル・モータースポーツ・メディア)』に対し、「メルセデスとホンダはこういった種類のテクノロジーを導入したがるだろう。個人的には私も四輪駆動F1カーが登場すればいいとワクワクしているよ」と語ったという。