メルセデスAMGでは、2016年シーズン限りで突然F1引退を決めたニコ・ロズベルグの後任として、ウィリアムズのバルテリ・ボッタスを獲得したが、これに至る経緯をトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)が説明した。
■最初からボッタスに狙いを定めていたわけではない
イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』から、2016年に初のF1ドライバーズタイトルを獲得したロズベルグが突然引退することになったとき、すでにボッタスの名前が頭に浮かんでいたのかと質問されたヴォルフは、「ノー」と答え、次のように続けた。
「まずは、ドライバー市場におけるすべての選択肢を評価することが必要だった。我々は経験があり、速いドライバーを必要としていたからね」
■ウェーレインにはもっと経験を積ませたい
今回、なぜメルセデスの秘蔵っ子とも呼ばれたパスカル・ウェーレインを昇格させようと思わなかったのかと尋ねられたヴォルフは、「我々としては、彼をルイス(ハミルトン)のチームメートにするのはまだ早過ぎると判断したんだ」と答え、次のように付け加えた。
「パスカルとエステバン・オコン(2017年はフォース・インディアに所属)に関しては、自分たちなりのプログラムを用意しているんだ。2年か3年をかけてのね」
■ウェーレインのザウバー移籍はエンジン契約とは無関係
2016年にマノーからF1デビューを飾った22歳のウェーレインは、今年はフェラーリ製パワーユニットを搭載するザウバーに移籍することが決まっている。このことは、2018年にはザウバーがメルセデスからパワーユニットの供給を受けることになる布石となるものだろうか?
「いや、ドライバーの契約はエンジンとはまったく関係ないよ」
そう主張したヴォルフは、「我々はザウバーとフェラーリのパートナーシップを尊重しているよ」と付け加えた。
■マッサの現役続行に伴う費用はメルセデスAMGが負担
しかし、ヴォルフはボッタスをウィリアムズから引き抜くにあたっては、2016年シーズン限りでのF1引退を表明していたフェリペ・マッサにもう1年現役を続行させる必要があり、メルセデスAMGがそのための費用を負担したのは事実だと認めた。
「何の見返りも提示せずに、彼らにオファーをすることはできなかったからね」
そう述べたヴォルフは、次のように付け加えた。
「クレア・ウィリアムズ(ウィリアムズ/チーム副代表)は聡明(そうめい)なビジネスウーマンだ。だが、我々は財政面のことだけを話し合ったわけではない。ウィリアムズも経験のあるドライバーが必要だったし、そのためにはフェリペを復帰するよう説得する必要があったんだ。だが、最終的には全員が満足できる形になったよ」
マッサの復帰に伴う費用はメルセデスAMGが支払うのかと質問されたヴォルフは、「そうだ。もちろんだよ」と答えている。
■ボッタスはロズベルグ同等のパフォーマンスを見せられるはず
ヴォルフはさらに、新たにハミルトンのチームメートとなるボッタスに関して次のように続けた。
「彼はニコ・ロズベルグと同じレベルで走ることができるようになると期待しているよ」
「我々としては彼とルイスにはお互いに刺激し合ってもらい、ニコとルイスのパフォーマンスを引き出したのと同じような雰囲気を作ってもらう必要がある」
ハミルトンとボッタスは、お互いに関係悪化に陥ることなく、ハミルトンとロズベルグ時代と同じようないいコンビになることができると思うかと質問されたヴォルフは、「そう願っているよ」と答えた。
■2018年に残留できるかどうかはボッタス次第
メルセデスAMGとボッタスの契約が2017年だけの1年契約であるということが引き金となって、メルセデスAMGではあくまでもボッタスをつなぎ役として位置付けており、2018年にはセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)もしくはフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)の獲得を目指すつもりではないかとのうわさもささやかれている。
だが、ドイツの『Bild(ビルト)』からこの件について尋ねられたヴォルフは、次のように答えた。
「もしバルテリが2017年にF1チャンピオン争いができるか、あるいは彼がF1チャンピオンになるようなことがあれば、彼はメルセデスAMGにとどまることになるだろうね」