F1発祥の地であるイギリスでもグランプリの将来に疑問が投げかけられている。
■「甚大な損害をもたらすリスク」を警戒
イギリスGPを開催するシルバーストン・サーキットのオーナーは、ブリティッシュ・レーシング・ドライバーズ・クラブだが、その会長ジョン・グラントは、会員に宛てた手紙の中で、イギリスGPの開催には「甚大な損害をもたらすリスクがある」と述べている。
「2019年末に解約する条項を行使する意志を、2017年(イギリスGP開催)までに通告することも検討している」と手紙にはある。
この手紙は、F1ビジネスジャーナリストのクリスチャン・シルトがイギリスのテレビ局『ITV』で報じたものだ。
シルバーストンは2026年までイギリスGPを開催する契約を結んでいるが、開催料が毎年5%ずつ上がる契約だ。そのため、2010年に1200万ポンド(約17億円)だった開催料が、2027年には2600万ポンド(約37億円)になると『BBC』は伝える。
昨年のイギリスGP来場者は13万9000人に上ったが、それでも「予算に届かなかった」とグラントは手紙で述べている。
■ほかのサーキットがあるとエクレストン
シルバーストンは行政からの補助金を受けていない数少ない開催地の一つだ。
2度のF1王者であるジャッキー・スチュワートは、この警告を深刻に受け止めるべきだと『ITV』に話している。
「そうなる恐れは十分にあり、起こらない保証はない」
この報道に対し、F1最高責任者のバーニー・エクレストンは次のように話した。
「彼らが解約条項を行使したいのなら、われわれにできることはない」
「ほかの2カ所のサーキットが接触してきているし、われわれとしてもイギリスGPはぜひ続けたい」
「それがどこかは言わない」とエクレストンは『ITV』に答えている。
■シルバーストンに代わるサーキットはあるのか?
1993年にF1を開催したドニントンパークは、『Guardian(ガーディアン)』紙の取材に次のように答えている。
「一貫して明言しているように、イギリスGPに名乗りを上げる意志はない」
また、ロッキンガムも同様のコメントをしている。
かつてイギリスGPを開催していたブランズハッチは、ルノーで走るジョリオン・パーマーの父親ジョナサン・パーマーがオーナーだが、コメントをしなかった。サーキット・オブ・ウェールズもコメントしていない。