ブラジル人ドライバーのフェリペ・ナッセが、ニコ・ロズベルグが突然のF1引退を表明したことで、自分が来季もF1にとどまることができる可能性が膨らんだと認めた。
■2017年はシート喪失が確実視されていたナッセ
2016年のF1チャンピオンとなったロズベルグの引退が明らかになるまでは、ナッセがザウバーのシートを失い、2017年にはグリッドから姿を消すことになる可能性が高いと見られていた。
ナッセは母国で行われたブラジルGP(第20戦)で9位入賞を果たし、それまで最下位に沈んでいたザウバーをマノーより上のコンストラクターズランキング10位に押し上げた。
だが、これにより、あてにしていたF1賞金を受け取ることができなくなったマノーは、2017年にはメルセデスの後押しを受けるパスカル・ウェーレインよりも多額の資金を持ち込めるドライバーと契約することが必須条件となったと言われている。
一方、これまで支援を受けていたスポンサーのブラジル銀行を失ったナッセは、2017年にはチームにスポンサー資金を持ち込むことができなくなる。
ウェーレインがマノーのシートを失う可能性が高くなったことで、メルセデスAMGがそのナッセよりも好条件を提示し、ウェーレインにザウバーのシートを与えようと動いていたわけだ。
■ロズベルグの引退によりナッセにもまたチャンスが?
ところが、ロズベルグが突然の引退を表明したことで、そうした動きにも大きな変化が生じることとなった。ウェーレインが一気に来季ルイス・ハミルトンのチームメートとしてメルセデスAMGに昇格する可能性が出てきたのだ。事実、メルセデスAMGではザウバーとのウェーレインに関する交渉をストップしたことを明らかにしている。
ナッセは、ロズベルグの引退により自分がF1に残留できるチャンスが大きくなったのは確かだと母国ブラジルの『Globo(グローボ)』に次のように語った。
「誰かが彼(ロズベルグ)のシートを埋める必要がある」
「これによって市場にいくつかの動きが生じるはずさ。この状況により、僕たちもここブラジルで(スポンサー獲得に向けて)取り組む時間が少し増えたよ」
■ザウバーとマノーのいずれとも交渉しているとナッセ
ナッセは、もし自分がF1にとどまれるとすれば、それはザウバーかマノーしかないと認め、次のように語った。
「僕たちはザウバーとマノーの両方と話をしたよ。だけど、僕はザウバーが第一希望さ。僕にとっては身近なチームだしね」
そのザウバーは、2017年のドライバーラインアップに関してはマーカス・エリクソンの続投は確定しているものの、もうひとつのシートに誰が座ることになるのかは依然として明らかになっていない。
■スポンサー持ち込み以上の貢献はしたはずだとナッセ
ナッセも、「彼ら(ザウバー)はまだパートナーを持ち込めるドライバーを探しているんだ。僕がやったことにもかかわらずね」
ブラジルGPで9位入賞を果たし、ランキングアップにつながる2ポイントをチームにもたらしたことに言及したナッセは、次のように付け加えた。
「あの9位は勝利にも等しいものだったよ。それはスポンサーを得たようなものだと思わないかい? チームに対して、あれよりもいいスポンサーシップを持ち込むことはできなかったと思うよ!」
伝えられるところによれば、ザウバーはナッセの活躍でコンストラクターズランキング10位に浮上したことにより、日本円にして16億円以上の分配金を手にすることができると言われている。