オーストリアの週刊ビジネス誌である『Trend(トレンド)』が報じたところによれば、今年のF1第9戦オーストリアGPを開催したレッドブルリンクが大きな赤字を計上したという。
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■36億円以上の赤字を出した今年のレッドブルリンク
レッドブルリンクは、かつてA1リンクと呼ばれていたサーキットを世界的エナジー飲料メーカーであるレッドブル社が買収して改修を行ったもので、2014年に11年ぶりにオーストリアGPが復活開催されていた。
だが、その2014年に現在のパワーユニットが導入され、メルセデスAMGが圧倒的な強さを誇り始めるとともにF1人気も大きく下降。レッドブルリンクで行われるオーストリアGPも観客動員に苦慮していると言われていた。
実際のところ、おとなりのドイツでも2017年も今年に引き続きホッケンハイムでドイツGPを開催しようという動きがあったものの、結局財政的理由により来年のドイツGPは行われないことが決まっている。
『Trend(トレンド)』は、オーストリアの山間部の町シュピールベルクにあるレッドブルリンクが2016年に計上した損失は3,000万ユーロ(約36億4千万円)に及んだと報じている。
■最大の原因は観客の激減
11年ぶりにオーストリアにF1が戻ってきた2014年にはまずまずの入場者数を記録していたレッドブルリンクだが、その後急激にチケットセールスが落ち込んだことが、この損失につながったものだと考えられている。
実際のところ、2014年には95,000人の観客を動員したレッドブルリンクでのオーストリアGPだが、2016年の観客数はわずか40,000人にまで落ち込んでしまったとされている。
『Trend(トレンド)』によれば、レッドブルリンクは2015年にもすでに1,800万ユーロ(現在のレートで約20億円)の損失を計上していたとされており、こうした状況が今後も続くようであれば、再びオーストリアからF1が消えることも懸念されることになりそうだ。
■対策はチケット価格引き下げ
伝えられるところによれば、レッドブルではこれを打開するためにチケット価格を引き下げ、入場者数を確保するという戦略で2017年に臨むことになりそうだ。
『Trend(トレンド)』は、ある内部関係者による次のようなコメントを紹介している。
「レッドブルはすでにこの損失への対応を行っており、2017年のグランプリに向けてチケット価格を引き下げた」