ザウバーの女性チーム代表であるモニシャ・カルテンボーンが、F1にとってはメルセデスAMGが圧倒的に強い今の状態より、フェラーリが支配する状況のほうがまだ好ましいと語った。
2016年シーズンもメルセデスAMGが3年連続でドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルを独占した。今季は特に過去最多となる全21戦で行われたが、そのうち19戦でメルセデスAMGが勝利を収めるという圧倒的な強さを誇っている。
■F1ファンが減ったのはメルセデスAMGが強すぎるせい
カルテンボーンは、2014年に導入された現在のパワーユニット時代にうまく対応したメルセデスAMGを責めるわけにはいかないと語ると、ドイツのラジオ局『Deutschlandfunk(ドイチュランドフンク)』に次のように続けた。
「それは、とりわけ優れたエンジンのおかげでしたが、同時にいい空力パッケージも備えていたのです。しかし、ひとつのチームが支配する状況となるのはよいことではありません」
そう述べたカルテンボーンは、「もちろん、複数のチームによるタイトル争いが展開されるほうがよいに決まっています」と語りつつ、さらに次のように続けた。
「もしフェラーリが支配していたとすれば、それほどこのスポーツにとって悪い影響はなかったと思うのです。フェラーリには非常に多くのファンがいますし、観客数も減ることはなかったでしょう」
■新ルール導入も、来季も大きな変化は考えられない
2017年からは空力やタイヤに関するルールが大幅に変わることになっている。だが、カルテンボーンはそれによる変化を歓迎しつつも、エンジンに関するルールは来年も基本的に変わらないというのは悪いニュースだと主張している。
「これ(2017年のルール変更)は、メルセデスAMGに近づくためにある程度の開発ができるチームにとってはいいチャンスになるでしょう」
そう述べたカルテンボーンは、次のように付け加えた。
「しかし、それでもほかのメーカーがメルセデスのエンジンとの差を縮めるにはあと2年は必要じゃないかと思います」
■新ルールがファンに受け入れられるかどうかも不安
さらに、カルテンボーンは、F1カーの速度をさらに高め、もっと見応えのあるレースとするために導入されることになっている2017年の新レギュレーションだが、それが本来の目的を達することができるかどうかは疑問だと次のように続けた。
「私は最初から疑問を呈していました」
「クルマが速くなり、より運転が難しくなると言っても、それは観客からは分からないでしょう」
「もし、1周あたり10秒か15秒も違ってくれば、観客にもそれが分かるでしょう。しかし5秒か6秒ではそうはならないと思います。ですから、私はそれを心配しているのです」