2016年のF1チャンピオンとなったニコ・ロズベルグが突然引退表明を行ったことに対して苦言を呈したニキ・ラウダ(メルセデスAMG/非常勤会長)に対し、元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーが反論を行った。
現役時代に3度F1王座に就いたことがある伝説的元F1ドライバーでもあるラウダは、今季のF1最終戦で初のF1タイトル獲得を達成したロズベルグがその後突然F1引退を発表したことに怒りの声をあげていた。
チームが、もはやあまり手の打ちようのない状況のもとで後任ドライバーを探さなくてはならない状況に追い込まれたというのがその理由だ。
しかし、メルセデスAMGのトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)は、ラウダの発言をかばうようにドイツの『DPA通信』に次のように語った。
■ラウダはロズベルグの感情を共有できなかった
「ニキは非常に理性的に考える人なんだ。だから、そういう感情的な決断には共感できなかったのさ」
「彼(ラウダ)の考える世界においてはそんなことはありえないし、彼(ロズベルグ)がF1チャンピオンになれた最高のクルマを手放すことはおかしいという理性的な理由がたくさんあるんだ」
■ラウダのほうがもっと身勝手だったとベルガー
だが、かつてマクラーレンやフェラーリで活躍したベルガーは、オーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』から、なぜラウダがあのような反応を見せたのか分かるかと尋ねられると「全然分からないね」と答え、次のように続けた。
「私はニキにこう言ったよ。あなたはもっとひどかったよ! あなたはシーズンの途中で練習走行をした後にもうこれ以上ぐるぐると走り回りたくないと言って去ったじゃないか、とね」
当時ブラバムに在籍していたラウダが1979年の第14戦カナダGP予選前に突然引退を発表し、そのままサーキットを後にしてしまったエピソードに言及したベルガーは、次のように続けた。
■ロズベルグ離脱は確かに大きな損失
「その一方で、私も(ラウダが)不満を抱えることは理解できるよ」
「レーシングチームの運営にかかわり、今後に向けてこの巨大なパズルにニコのような力量を持つドライバーやほかのピースをうまくあてはめていたのに、突然そこから大きなピースが失われてしまったんだからね。それはものすごく大きな損失だよ」
そう語ったベルガーは、次のように付け加えた。
「もちろん、最初はがっかりするさ。だがそれは回復していくよ」