メルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダが、初のF1タイトルを獲得してからほんの5日後に突然F1引退を発表したニコ・ロズベルグに苦言を呈した。
■まさに青天のへきれきだったとラウダ
イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』に対し、「彼(ロズベルグ)は私に対し、ストレスのためだったと言ったよ」と語った伝説的元F1ドライバーでもあるラウダは、ドイツの『Welt am Sonntag(ヴェルト・アム・ゾンターク)』にも次のように語った。
「私は悪名高い策略家だし、常に緊急時のための計画だって持っている。その私でさえ、こんなことは予想していなかったよ」
「一方では、もしニコが去りたいと言うのであればそれを受け入れなくてはならない。だが別の面から言えば、ニコは8月に我々と2年間の契約を結んでいたのだ」
「私の気に障ったのは、彼がもしF1チャンピオンになれなかったらこのまま続けていただろうと我々に言ったことだ。少なくとも、契約を結んだときにそのことをほのめかすことくらいはできたんじゃないかと思うよ」
「彼は、チャンピオンになりたいと思っていただけだから、これで辞めると言う。だが、問題は、彼がそういう考えを抱いているという信号めいたものを一度たりとも我々に示していなかったことだ」
「結局のところ、メルセデスF1部門の1200名に及ぶスタッフは彼が素晴らしいクルマによってF1チャンピオンになれるよう彼にあらゆるチャンスを与えてきた。それなのに、彼は突然辞めると言ってきたんだ」
「この決断はニコが1人で行ったものだ。そしてそれは、ブラックリー(メルセデスAMGのファクトリー)の全員にとって、そしてメルセデスや彼と密接に仕事をしてきたエンジニアやメカニックなど多くの人たちにとっては、この素晴らしいチームにぽっかりと大きな穴が開けられてしまったようなものだ」
■来季に向けてメルセデスAMGが不利な状況に
ラウダは、これによって、メルセデスAMGのビジネス担当エグゼクティブディレクターであるトト・ヴォルフとともに、クリスマスまでには解決しなくてはならない「大きな問題」を抱えてしまうことになったと次のように続けた。
「我々はそのプロセスを開始したばかりだ。今回のことには完ぺきに驚かされたからね。まだどうなるか全く分からないし、何の解決策も持っていないよ」
ラウダはさらに、ロズベルグの突然の引退により、メルセデスAMGが2017年シーズンに向けて「非常に不利」な状態に置かれたことは確かだと考えている。
「2人のF1チャンピオンを擁するというF1でも最高のドライバーラインアップによる安定性は失われてしまった。現時点では不確定要素が非常に多くなっている」
そう語ったラウダは、次のように付け加えた。
「手短に言えば、今我々は考えうる最悪の状態にあるということさ」