今年のF1ドライバーズタイトルのゆくえがかかった最終戦アブダビGP決勝で、終盤に2番手を走行していたポイントリーダーのニコ・ロズベルグをほかのチームのドライバーたちに追い抜かせようとわざとペースダウンしたルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)に対する批判的なコメントも少なくない。
●「メルセデスAMGはハミルトンを甘やかすな」とジャッキー・スチュワート
だが、実際にチームメートからそうしたプレッシャーをかけられたロズベルグ本人は、ハミルトンの行為は理解できるとコメント。さらに、ほかにも多くのドライバーたちがハミルトンのとった戦略を擁護する発言を行っている。
■シェクター「あれは立派な戦略だった」
うわさでは、チームからの指示を無視してペースを上げようとしなかったハミルトンに対し、メルセデスAMGが何らかの処分を行うのではないかと言われている。
だが、1979年のF1チャンピオンであるジョディ・シェクターは、そんなことは「ばかげている」と語り、次のように付け加えた。
「戦術だって重要なレースの一部だし、ほかのどんなスポーツでも常に行われているんだからね」
■プロスト「ハミルトンはよくやった」
かつて4度F1王者となったアラン・プロストも、アブダビGP決勝でのタイトル争いはこれまでにはあまり見られなかった展開となったものの、ハミルトンは十分にうまく戦ったと『Canal Plus(カナル・プリュ)』に次のように語った。
「ルールには、できる限り速く走らなくてはならないなんてどこにも書かれていないよ。あれはコーナーでブレーキングを行うような危険な行為ではなかったし、実際のところ、あれはよかったよ」
「私は、最後の数周で何かずるい行為、あるいは汚い行為を目にすることになるんじゃないかと心配していたんだ。だが、そんなことは起きなかった」
■ベルガー「ハミルトンは非常にフェアだった」
さらに、ロズベルグの代理人としてメルセデスAMGとの契約交渉を担当していたことでも知られる元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーでさえ、ハミルトンのとった戦略を擁護している。
ベルガーは、「あれはアンフェアではなかったよ」と『Tiroler Tageszeitung(チロラー・ターゲスツァイトゥング)』に語り、次のように続けた。
「私だったらもっとやっていただろうと思うし、ハミルトンはまったくもってフェアだったと言えるよ。彼はあの手を使うしかなかったんだ。そして、もっと過激にやることだってできていたはずだよ」
■クビアト「誰でも似たようなことをやったはず」
現役ドライバーの中にもハミルトンを擁護する声が多く聞かれている。その中の1人が、トロロッソのダニール・クビアトだ。
「ドライバーなら誰でも似たようなことをやったはずだと思うよ。ニコ(ロズベルグ)も含めてね」
オーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』にそう語ったクビアトは、次のように付け加えた。
「だから、誰であれ、あれを非難すべきではないよ」