今年のF1最終戦アブダビGP決勝で3位表彰台に上ったセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が、2016年のF1チャンピオン争いを台無しにするようなことはしたくなかったと語った。
■ロズベルグの防御がうまかった
アブダビでの決勝レースでは残り数周となったところで2番手を走行していたニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)の背後にまで迫っていたベッテルだが、同じドイツ国籍を持つロズベルグのタイトル獲得を手助けするためにわざと追い抜きをかけなかったのではないかとの質問に対し、それは違うと『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように主張した。
「ストレートではニコのほうが僕よりも少し速かったんだ」
「ターン11が(追い抜くには)最高の場所だったけれど、ニコは本当にうまく防御したよ」
■ばかげたリスクは負えなかった
だが、ベッテルが本気でロズベルグを抜こうとは思っていなかったと考えている者も少なくはないようだ。
確かに、背後にまで迫まりはしたものの、ベッテルが実際にロズベルグを追い抜こうという動きを見せることはなかった。ベッテルは、それについて次のように説明した。
「ニコはルイスの後ろにかなり接近していた。だから僕もフルにリスクを負うことはできなかったんだ。だって、同時に彼(ハミルトン)をリタイアに追い込んでしまう可能性もあったんだからね。僕はばかげた追い抜きをかけるようなリスクをとりたいとは思わなかったよ」
■ハミルトンはバスのようにゆっくり走っていた
だが、レッドブル時代の2010年から2013年まで4年連続でF1チャンピオンに輝いた実績を持つベッテルは、あのときハミルトンがとった戦術はあまり感心できるものではなかったと次のように続けた。
「僕なら、ニコのような立場に置かれたくはなかったね。ルイスが何をやろうとしていたのはみんな分かっていた。彼(ハミルトン)はバスみたいに遅かったし、ニコを僕たちと戦わせたかったんだ」
「僕はフェラーリのために優勝したいと思っていたよ。だけど、同時に、ルイスとニコがタイトル争いをしているということも分かっていたからね」
■ロズベルグはF1チャンピオンに値する
ハミルトンは、自分がタイトルを逃したのは自分のクルマのほうにばかりトラブルが起きたためであり、本当はロズベルグにはF1チャンピオンの資格はないと語ったことが報じられている。
だが、ベッテルはその考え方は間違いだと『Bild(ビルト)』に次のように語った。
「僕としては、幸運だけでチャンピオンになれることなど絶対ないと思っているよ」
「幸運を手にするときもあれば、それほど幸運ではないときもあるものさ。だけど、それは過去にほかのドライバーたちも経験してきたことだ」
「ニコは1年で最も多くのポイントを稼いだ。彼にはすごく一貫性があったし、ほかのドライバーのほうがタイトルにふさわしかったなんて絶対に考えるべきではないと思っている」
そう主張したベッテルは、次のように付け加えた。
「21レースを終えた時点で示されている結果がすべてなんだよ」