今週末に開催される2016年F1最終戦アブダビGP(27日決勝)でついに今年のF1チャンピオンが決定することになる。
■GP2シリーズもアブダビでチャンピオン決定
だが、ニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンのメルセデスAMGドライバー同士によるF1タイトル争いに加え、アブダビではもうひとつのタイトル争いも展開されることになる。F1の下位カテゴリーであるGP2シリーズも、アブダビで今季の年間チャンピオンが決定することになるのだ。
そして、現時点でランキングトップに立ち、2016年のGP2チャンピオンに最も近い位置にいるのがイタリア人ドライバーのアントニオ・ジョビナッツィだ。
この将来有望な22歳のドライバーに関しては、メルセデスが育成ドライバー契約を持ちかけたものの、早期にF1昇格実現を望むジョビナッツィがそのオファーを断ったようだとも伝えられている。
■ジョビナッツィのタイトル獲得に期待するイタリア
現在、レッドブルの控えドライバーでもあるピエール・ガスリーに7ポイント差をつけているジョビナッツィだが、イタリア自動車クラブ(Aci)会長であるアンジェロ・スティッキ・ダミアーニもアブダビで彼がタイトルを獲得することを望んでいると『Autosprint(オートスプリント)』に次のように語った。
「再びF1にイタリア人ドライバーが登場することが緊急の課題だからね」
「それが我々にとっての最初の目標だ。アブダビでGP2の最終ラウンドを迎えるが、(2016年に)このカテゴリーにデビューしたばかりにもかかわらず、我々のジョビナッツィがトップに立っているんだ」
「我々はみんなかたずをのんでそれを待っているよ」
■5年間イタリア人ドライバー不在のF1
過去、大勢のF1ドライバーを輩出してきたイタリアだが、ヤルノ・トゥルーリが2011年限りでF1から引退してからは1人のイタリア人F1ドライバーも誕生していない。もしジョビナッツィが2017年のF1シートを確保できれば、6年ぶりにイタリア人F1ドライバーがグリッドに並ぶことになる。
名門F1チームであるフェラーリを抱えるとはいえ、全体的に人気低下現象にあり、F1イタリアGPの開催継続問題もまだ完全にすっきりしていない状態のイタリアとしては、F1人気回復のためにぜがひでも再びイタリア人F1ドライバーをグリッドに送り込みたいところだ。
■F1昇格への道は険しいとジョビナッツィ
そうした期待を受けているジョビナッツィは、最終ラウンドとなるアブダビでのレースを前に次のように語った。
「僕は自分が始めた仕事を完了させなくてはならない。もちろん、それ(GP2タイトル獲得)は重要な条件にはなるけれど、それだけではF1に上がるには十分じゃないよ」
「問題はそれ以上に複雑だし、まだどうなるかは分からない。さしあたっては、僕はアブダビのことだけを考えているよ」
2017年にF1デビューを飾る若手ドライバー候補の1人に数えられているジョビナッツィだが、現時点で空きシートが残っているのはザウバーのひとつと、マノーの2つの合計3つだけとなっている。それらのシートに関しては、フェリペ・ナッセ(ザウバー)、パスカル・ウェーレイン(マノー)、そしてジョーダン・キング(マノー/開発ドライバー)や今季前半までマノーで走っていたリオ・ハリアントなどが激しい争奪戦を繰り広げていると伝えられている。
ジョビナッツィがそうしたライバルたちを出し抜いて2017年のF1シートを獲得できるかどうかは、かなり微妙な状況だと言わざるを得ないのが現実かもしれない。