ポイントリーダーとして今シーズンのF1最終戦アブダビGP(27日決勝)に臨むニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)だが、どういう戦略でこのレースを戦うかについてはまだ考えがまとまっていないようだ。
■いよいよ最終戦。ロズベルグは3位以上でタイトル決定
最近のレースでも勝利を目指して取り組んできたと主張しているロズベルグだが、実際にはチームメートでありディフェンディングチャンピオンのルイス・ハミルトンが3連勝を飾るという結果に終わっている。
だが、ポイントを大きくリードしているロズベルグが、あえてリスクを冒さず、2位狙いのレースを展開してきた可能性も否めない。ここへきて怖いのは、マシントラブルやクラッシュによって大きく順位を下げてしまうことだ。レースでの信頼性重視を最大の目標とするなら、予選でも無理をしてポールポジションを狙わず、決勝では手堅く2位を確保すればよかったからだ。
そして迎えた今週末の最終戦。現在ロズベルグはハミルトンに対して12ポイントのリードを保っており、仮にハミルトンが優勝しても自分が3位以上でフィニッシュすればついに初のF1タイトル獲得が実現することになる。
■まだアブダビの作戦は決めていないとロズベルグ
そのアブダビGPを前に、ロズベルグは『Kolner Express(ケルナー・エクスプレス)』に次のように語った。
「いつもと同じように難しいレース週末になると思うよ」
「常に挑戦さ。F1では簡単なことなど何もないからね」
前戦ブラジルGPでもマッチポイントを握っていたロズベルグは、自分が優勝すればそこでタイトル獲得が決まっていたはずだった。だが、今週末のアブダビでは3位以上でゴールすれば念願のタイトルを手中に収めることができる。
「最終戦にどういう取り組み方をするかはまだ分からないよ。それを考えるための時間がとれたら、木曜日(24日)には話せると思う」
■ロズベルグにもチャンピオンの資格ありとエンジニアリング責任者
一方、メルセデスAMGの首脳陣としては、アブダビがどういう結果に終わろうが、あまり気にすることはないだろう。いずれにしてもロズベルグとハミルトンのどちらかがタイトルを獲得することは間違いなく、メルセデスAMGとして3年連続でドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルを独占することはすでに決まっているからだ。
しかし、メルセデスAMGのエンジニアリングディレクターを務めるアルド・コスタは、イタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』紙に対し、できれば今年はロズベルグに勝たせてやりたいと示唆するようなコメントを行っている。
「2台のまったく同じクルマを、可能であれば完ぺきなマシンに仕上げてアブダビへ持ち込むことができるよう細心の注意を払う必要がある」
そう語ったコスタは、次のように続けた。
「だが、私としては、もしニコが勝てば本当にいいご褒美になると思うよ」
「彼はいい意味での仕事中毒人間なんだ。学ぼうとする姿勢を常に忘れず、真剣に没頭しているからね」
「ハミルトンと戦うのは楽なことじゃない。だけど、彼(ロズベルグ)は常にそれをやってきたし、彼(ハミルトン)の真後ろか前でレースを終えてきた。だから彼には十分にF1チャンピオンの資格があるよ」とコスタは付け加えている。