伝説的なF1レーサーであったアイルトン・セナに匹敵する才能があると話題になっているマックス・フェルスタッペン(レッドブル)だが、自分はこのまま地に足をつけて進み続けて行くだけだと冷静に語っている。
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■ラウダも脱帽 雨のセナをほうふつさせたフェルスタッペン
雨に見舞われた先週末のF1ブラジルGP(第20戦)決勝だったが、その劣悪なコンディションの中で思いもよらないラインから次々とほかのクルマを追い抜いて見せたフェルスタッペン。その走りは同じようなコンディションとなった1993年のドニントン(ヨーロッパGP)でセナが1周目に見せた怒とうの走りを思い起こさせるものだった。
ライバルチームであるメルセデスAMGの非常勤会長を務めるニキ・ラウダでさえ、そのフェルスタッペンの走りをたたえ、レース後に彼の父親であるヨス・フェルスタッペンに話しかけたときには絶えず被っていることで有名な赤いキャップをとり、まさに脱帽だという意思表示を行っていた。
今週、母国オランダのアムステルダムで行われたスポンサーイベントに参加していたフェルスタッペンは、そのときのことを次のように語った。
「彼はめったにそういうことをしないんだ。だから、彼が僕の父に対してそうしたことはすごくうれしかったよ」
■セーフティカーの後ろでコースを研究していた
17歳という年齢でF1デビューを飾ったフェルスタッペンの才能の高さはすでに誰もが知るところであり、以前からセナと並ぶようなF1ドライバーになるのではないかと言われることも少なくなかった。
だが、今年のブラジルGPでフェルスタッペンが見せたウエットコンディションでの走りにより、本当にフェルスタッペンがセナレベルのドライバーだという話題が沸騰している。
フェルスタッペンは雨のインテルラゴスで通常の走行ラインをとらず、わざと普通は走行しないラインを選び、そこでさらにグリップを得ることに成功していたのだ。それはまさにセナがドニントンで見せた離れ業をほうふつさせるものだったからだ。
「僕はセーフティカーの後ろを走りながら、すでに違うレーシングラインをいろいろ試していたんだ」
そう語った19歳のフェルスタッペンは、次のように続けた。
「ちょっとばかりカートに似た感じだったよ。クルマが大きいだけでね。だけど、限界にくると滑ったし、クルマがヘビみたいにくねくねとなっていたよ」
■慢心は危険だと19歳
ちまたではフェルスタッペンがセナのような走りを見せたということが大きな話題になっているが、フェルスタッペン自身はそういうことをあまり気にしないように心掛けているようだ。
「報道ではすごくよく書かれているけど、冷静で落ち着いていることが大切なんだ」
セナが亡くなってから3年後の1997年に生まれたフェルスタッペンはそう語ると、次のように付け加えた。
「常に成長し続ける必要があるからね。それで十分だなんてことは決してないんだから」