今季ルノーのテストドライバーを務めているロシア人ドライバーのセルゲイ・シロトキンが、来季は正式に控えドライバーのポジションを手に入れることになりそうだ。
■ブラジルGP金曜フリー走行を担当したシロトキン
ルノーでは今季フランス人ドライバーのエステバン・オコンと控えドライバー契約を結んでいたが、オコンはシーズン後半にマノーのシートを獲得してF1デビューを果たしており、厳密には現在はルノーに控えドライバーが存在しない状態となっている。
だが、今季GP2シリーズに参戦しているシロトキンが、先週末にサンパウロのインテルラゴス・サーキットで行われたF1ブラジルGP(第20戦)の金曜フリー走行1回目の走行を担当。チーム代表のフレデリク・ヴァスールはそのときのシロトキンの走りは「素晴らしかった」と評している。
今回シロトキンにそのチャンスが与えられたのは、シロトキンが所属しているロシアのSMPレーシングとルノー、そしてシロトキン自身のコラボレーションによって実現したものだった。シロトキンは母国ロシアで行われた今年の第4戦ロシアGPでも金曜フリー走行1回目を担当していた。
■シロトキンの控えドライバー昇格を示唆するルノーのボス
「セルゲイとの協力関係をさらに進めていきたいと思っている」
ロシアの『Sportbox(スポートボックス)』にそう語ったヴァスールは、次のように続けた。
「我々としては彼がもっとクルマに乗る時間を増やすことができる選択肢を見いだしていく必要がある」
「来季も、我々は若手ドライバーに関して同じテストシステムを運用していくことになる。だが、クルマの開発を手助けできるだけの経験を有するドライバーを必要としているんだ。セルゲイがそれにふさわしい候補者だと思っているよ」
シロトキンは、2013年に資金難に陥っていたザウバーがロシアの企業グループとの間で救済契約を結んだ際に、ザウバーからのF1デビューがその契約条件に含まれていたと考えられている。2014年はザウバーとの間にテストドライバー契約を結び、やはりロシアGPの金曜フリー走行に出走した経験も持っている。
結局ザウバーとは決別したシロトキンだったが、2015年からGP2シリーズに参戦。そして今年ルノーとテストドライバー契約を結んでいた。
■2017年には有能な控えドライバーが必要となるルノー
ルノーでは来季、ジョリオン・パーマーが残留し、フォース・インディアから移籍してくるニコ・ヒュルケンベルグとタッグを組むことになっている。ヴァスールは、この2人に加えて来季は力のある控えドライバーを擁することが必要だと次のように付け加えている。
「来シーズンはチームにとって非常に難しいものになるだろうし、我々には2人の中心的ドライバーたちだけではなく、力のある3番目のドライバーが必要だ」
来季はほぼルノーの控えドライバーの地位を約束されたと見ていい21歳のシロトキンだが、ルノーとしては来季もシロトキンをGP2に参戦させるのか、あるいは完全にF1に集中できる立場に置くのかは、まだはっきりとは決まっていないようだ。