F1関係者の中には、2010年から2013年にかけてレッドブルにおいて4年連続でF1タイトルを獲得したセバスチャン・ベッテル(現フェラーリ)が、近いうちにF1から去ってしまうのではないかと危ぐしている者も少なくないようだ。
【FIA公式】“暴言”を繰り返したベッテル氏は複数回の謝罪・・・FIAが公式声明
■メキシコGPで「らしからぬ暴走」を見せたベッテル
前戦F1メキシコGPでは、決勝レース中にライバルであるレッドブルのマックス・フェルスタッペンがコースをショートカットしながらも自分に順位を譲らなかったことに激高したベッテルは、チーム無線を通じてフェルスタッペンばかりでなく、レース競技委員長を務めるFIAのチャーリー・ホワイティングをも名指しでののしるという暴言を繰り返していた。
もちろん、メキシコGPで起きた事件はそればかりではなかった。ダニエル・リカルド(レッドブル)はメキシコGP決勝終盤にフェルスタッペンに前をふさがれてなかなか追い抜くことができないでいら立っていたベッテルに攻撃をしかけたが、ベッテルがブレーキング時にラインを変えたことで両者が接触。
結局リカルドはコース上でベッテルを追い抜くことはできなかったものの、レース後の審議によりベッテルに10秒加算ペナルティーが下されたことでリカルドが3位に繰り上がり、表彰台でトロフィーを手にしていたベッテルはそれを失ってしまっていた。
■ベッテルは変わってしまったとリカルドとホーナー
レース後にベッテルがラインを変えたことを激しく非難していたリカルドは、2014年にチームメートであったころに比べると、最近のベッテルは変わってしまったように思えると次のように語った。
「これまでにもこういうことはあったけれど、以前に比べると彼らしくなくなってきているよ」
確かに、今季は周回遅れのドライバーなどに対してベッテルがチーム無線で必要以上の悪態をつくことも増えている。
元ベッテルのボスであったレッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーも、ベッテルは以前とは変わったと感じたようだ。
「我々と一緒にやっていたときは、彼はあんな性格じゃなかったよ。明らかに彼は自分の欲求不満を声に出しているし、誰もがそれを認識できている」
■まだ2018年以降の契約更新交渉に入らないフェラーリとベッテル
昨年はシーズンを通じて278ポイントを獲得し、チームメートのキミ・ライコネンに128ポイントもの差をつけていたベッテル。だが、今季は現時点で獲得ポイントではわずかに9ポイント上回ってはいるものの、予選やレースでの安定感という意味ではライコネンに後れをとっていると見ている者も多いようだ。
そうした中、フェラーリとベッテルはいずれも、2018年以降の契約延長についての話し合いを始めることをまだ望んでいないようだとも伝えられている。
■ベッテルは長くF1にはいないだろうとブランドル
マクラーレンなどで活躍した元F1ドライバーであり、長くF1解説を務めていることでも知られるマーティン・ブランドルは次のように語った。
「私は、セバスチャン・ベッテルがあまり長くF1にとどまることはないのではないかと考え始めている」
「彼は非常に若くしてF1にやってきて、多くの記録を破った。私はレースをする彼を見ているが、彼はそうした力を失ってしまったよ」
■ベッテルがF1から去っても不思議ではない
また、イギリスの『Times(タイムズ)』紙は、ある匿名の人物による次のようなコメントを紹介している。
「セブ(ベッテルの愛称)は去ってしまうかもしれない」
「彼はすでに4度F1タイトルを取っているし、その力をあらためて証明する必要もない。彼は家族とのプライベートを大事にする人間だ。彼はスポットライトを浴びることを強く望んでいるわけではないし、もうそれは十分に手に入れたと考えるかもしれないからね」
そう述べた匿名のF1関係者は、次のように付け加えた。
「そうなれば残念だ。だが、彼はそうするかもしれないよ」