レッドブル首脳がF1アメリカGPで許されないミスを犯したマックス・フェルスタッペンに対して苦言を呈した。
先週末に行われた2016年F1第18戦アメリカGPにおいて、F1公式サイトが主催する「ドライバー・オブ・ザ・デー」にはファンからの投票によってフェルスタッペンが3戦連続で選出された。
フェルスタッペンはこのレースをマシントラブルによりリタイアしており、完走できなかったドライバーが「ドライバー・オブ・ザ・デー」に選出されるのは珍しいことだ。
そればかりではない。フェルスタッペンはレース中にチームから指示を受けていないにもかかわらず、自分の判断でピットインしてしまうというトップチームのドライバーらしからぬミスも犯してしまっていた。
■ドライバーが勝手にピットインすればすべてがむだになる
最終的にリタイアとなったものの、このピットストップミスによってフェルスタッペンは大きく順位を下げることとなっていた。これにはチーム首脳陣もいら立ちを隠していない。レッドブルのドライバー育成責任者であるヘルムート・マルコは、レース後に次のように語っている。
「我々は80名ものエンジニアとストラテジストを抱えている。だが、ドライバーが自分で判断してピットに戻ってきたりすれば、みんなむだになってしまうよ」
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、そのフェルスタッペンの予期せぬピットインについてライバルチームの匿名の人物が次のように語ったと伝えている。
「フェルスタッペンは非常に速い。だが、彼がピットに入ってきたのは、そうすることでリカルドに勝てると考えたからではないかと思うんだ」
「それにより、彼は自分のチームが2位になるチャンスを消してしまったんだ。それは受け入れられないことだ。自分のチームのルールに従わないとね」
■忍耐を学ばないと優勝もタイトル獲得も無理
さらに、マルコはオースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われたアメリカGP決勝中に、チームからの指示に逆らう様子を見せていたフェルスタッペンに対して厳しいコメントを行っている。
前を走るニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)を追いかけていたフェルスタッペンだが、チームのエンジニアからペースを下げるように警告を受けた際、次のように答えていた。
「僕は4位で終わるためにここにいるんじゃないよ!」
マルコは、フェルスタッペンは間違っていたと次のように語った。
「タイヤを酷使し続けることはできないんだ。彼はこのことを学ばなくてはならない」
「そうでなければ、どのレースに勝つこともできないし、タイトルだってとれるわけがない。彼には攻撃することと辛抱することの間の適正なバランスを見つける必要がある」
■リカルドのほうがその点は賢い
マルコは、その完ぺきなお手本がチームメートのダニエル・リカルドだと語っている。アメリカGPでは3位に終わったリカルドだが、もしフェルスタッペンのクルマにトラブルが発生したことによってバーチャルセーフティカーが導入しなければ、2位でフィニッシュできていた可能性も高かった。
「ダニエルと比べると・・・」とマルコは続けた。
「彼(フェルスタッペン)のほうがタイヤの摩耗がかなり激しいんだ。それでは彼は速くなど走れないよ」
レッドブルのあるエンジニアもこの問題について次のように語っている。
「フェルスタッペンは2回目のスティントでまたタイヤをあまりにもハードに使い過ぎていた。無線で警告を受けたとき、彼は4位で終わりたくないと言っていた。だけど、リカルドのほうが賢かったよ」