2015年にはレッドブルから移籍してきたセバスチャン・ベッテルが3勝をあげる活躍を見せ、2016年には一気にメルセデスAMGからタイトルを奪うことを目標に掲げていたフェラーリ。
ところが、いざシーズンが始まってみれば、メルセデスAMGに勝つどころか、その差はさらに広がり、今ではナンバー2チームの座さえレッドブルに奪われてしまっている。
■フェラーリでは今でもアロンソ離脱を嘆いている
期待はずれの2016年F1シーズンを送っているフェラーリだが、地元イタリアでは最近特にベッテルに対する風当たりが強くなってきているようだ。
イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、先週末のアメリカGP決勝で4位に終わって3戦連続で表彰台を逃したベッテルに対し、12番グリッドからスタートして5位まで順位を上げたフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)を引き合いに出して次のように書いている。
「我々は、限界のあるマクラーレンのクルマに乗っているフェルナンドがまた最高の力を発揮したのを目にした」
「マラネロ(フェラーリ本部)にいる多くの者たちが彼(アロンソ)が去ったことを今でも嘆いている」
■ライコネンへの評価が相対的にアップ
2014年まで5年間フェラーリに在籍したアロンソを称賛した『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』はベッテルに関して次のように続けている。
「パフォーマンスは悪くはなかった。しかし彼はまだ、もはや何の保証もないクルマで、トップには非常に遠い位置にいる」
最近、不振に陥っているように見えるベッテルだが、一方でチームメートのキミ・ライコネンの方は以前よりも評価が上がってきているようだ。
「ライコネンはリタイアを余儀なくされるまでは、ずっとベッテルを後ろに従えていた。2人は違う戦略をとっていたものの、(ライコネンは)また説得力のあるレースをしてみせた」
実際のところ、今年は確かに昨年よりもベッテルとライコネンの成績が接近しているのは事実だ。以前はベッテルがライコネンに予選で負けることはあまりなかったが、今年はほぼ互角の戦いとなっている。それでも、今年ここまでの表彰台獲得回数はベッテルが6回、ライコネン4回とベッテルがややリードしている。
少し前まではライコネンとの契約を更新せず、別のもっと若いドライバーをベッテルと組ませるべきだとの論調も多かったイタリアのメディアだが、今では批判の矛先がベッテルの方に向けられてきているようだ。
■いつか必ずトップに立てるとベッテル
イタリアのメディアからは批判の的となっているベッテルだが、それでもアメリカGP後にはほほ笑みを浮かべていた。そのことを母国ドイツの『Bild(ビルト)』から指摘されたベッテルは、次のように答えている。
「ああ、なぜいけないんだい? 不機嫌にしていたってよくはならないよ」
「今週末(アメリカGP)のスピードには満足できていない。だけど、前向きなことは、僕たちが多くのことを学べており、それが来季に向けて役にたつだろうということさ」
「まず、僕たちは長期的プロジェクトを進めているんだということを忘れてはならないよ。それに、僕たちが戦っているのはドナルドダックやミッキーマウスじゃなくて、非常によい準備をしたライバルたちなんだからね」
そう語ったベッテルは、次のように付け加えた。
「険しくてでこぼこの多い道かもしれないけれど、僕たちがトップに立てる日が来ると確信しているよ」
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