「現時点では、ニコ・ロズベルグがあらゆる意味でメルセデスAMGのチームメートであるルイス・ハミルトンをしのいている」
そう語ったのは今季ロズベルグの契約延長交渉の代理人を務めたことが話題となっていた元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーだ。
■今季はハミルトンを大きく上回っているロズベルグ
ベルガーの支援もあって無事にメルセデスAMGと2018年まで契約を延長したロズベルグだが、現時点では4レースを残す段階でディフェンディングチャンピオンのハミルトンに33ポイント差をつけており、初のF1タイトル獲得のチャンスが大きくなっている。
2014年はハミルトン11勝、ロズベルグ5勝、2015年はハミルトンの10勝に対しロズベルグは6勝と、優勝回数でも2年連続でチームメートに負け越していたロズベルグだが、今季はここまでロズベルグ9勝、ハミルトン6勝と勝利数でも上回っている。
■頭脳戦で有利に立ったロズベルグ
かつてマクラーレンやフェラーリで活躍した57歳のベルガーは、ドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』に次のように語った。
「ニコは頭でルイスに勝っているんだ」
「ニコはこれまでの経験から学んできた。同じ条件なら、ハミルトンが非常に速いということをね。だが、ニコは今季ルイスをかなり不安な状況に追い込んでいる。そして彼(ハミルトン)はニコが成功を収めたやり方をコピーし始めてさえいた」
「これによってニコがさらに強さを増し、ルイスのほうが弱くなってしまったんだ」
「ニコは非常に冷静で落ち着いてきた。そしてそれぞれのレースへの取り組み方に非常に一貫性がある。それによってルイスは自分の強さを疑い始めたのさ」
「彼(ハミルトン)は突然、大した理由もないのにいろんなことを変え始めたんだからね」とベルガーは付け加えた。
■今やロズベルグのやり方をまねるハミルトン
実際のところ、伝えられるところによれば、ハミルトンはF1日本GP(第17戦)の舞台となった鈴鹿サーキットではロズベルグと同じセットアップを自分のクルマに施していたという。さらに、非常にマスターするのが難しいと言われているメルセデスAMGのクラッチシステムに対応するため、ロズベルグが使用しているのと同じ縫い目のない特製グローブをも使い始めていたようだ。
『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』によれば、ハミルトンはヨーロッパでのレースに際しても以前のように高級ホテルに部屋をとることをやめ、ロズベルグと同じようにサーキットに設けられたモーターホームに寝泊まりするようになっていたという。また、ロズベルグのやり方をまねて、サーキットにおいて密着したサポートを受けるための理学療法士などによる支援チームを用意しているとも伝えられている。
メルセデスAMGを率いるトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)もそれが事実であることを認め、その理由を次のように説明している。
「なぜなら、ニコはすべてに対して非常にきちょうめんだからだ。ルイスも同じようにすべきだよ」