フェラーリの母国イタリアで、先週末のF1マレーシアGP(第16戦)でニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)を巻き込むクラッシュを演じてリタイアしたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に対する風当たりが強くなってきている。
■らしからぬミスを演じたベッテル
2015年にレッドブルからフェラーリへ移籍して以来、事実上のナンバー1ドライバーだと考えられていたベッテル。しかし今季はライバルチームのメルセデスAMGやレッドブルとの戦いで後手に回っているばかりか、チームメートのキミ・ライコネンからも大きなプレッシャーをかけられる状況となっている。
そんな中で行われたマレーシアGP決勝では、スタート直後のターン1への進入で強引にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のインを取ろうとしたベッテルがそのまま速度を落としきれずにロズベルグに接触。ロズベルグはスピンして順位を落としただけで済んだものの、左フロントサスペンションを壊したベッテルはそこでリタイアとなってしまった。
レース後、ベッテルは最年少F1ドライバーのフェルスタッペンから「間抜け」呼ばわりされるとともに、メルセデスAMGの非常勤会長であるニキ・ラウダからも「危機的状態にある」と指摘されてしまう始末だった。
■ベッテルに集中砲火を浴びせるイタリアのメディア
そして今週、ミラノの本部を置く『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』は、「フェラーリがうまくやれるドライバーを緊急に必要としていることは明らかだ」と書き、次のように付け加えている。
「レッドブルが改善するにつれ、セバスチャンがさらに目立たなくなってきている」
さらに、ローマに本部がある『La Repubblica(レプブリカ)』は、ベッテルはかつて人さし指を立てて「ナンバー1」であるとのジェスチャーをしながら笑顔をたたえることで知られていたものの、「今ではセバスチャンは笑ってなどいない」とし、次のような疑問を呈している。
「マラネロ(フェラーリ本部)が、フェラーリ史上最高年俸のドライバーを沈めてしまったのだろうか? あるいは、ベッテルが才能とスピードを失ってしまったのだろうか?」
また、『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』は、ベッテルが失態を見せたのは今回のセパン・インターナショナル・サーキットでのクラッシュが初めてではないと書き、次のように続けている。
「彼(ベッテル)が自分の失敗の責任を認めようとしないのは悲しいことだ」
■ベッテルだけの失敗ではないとの見方も
そうした報道が多い中、『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、ベッテルの失敗だけを責めるのは不公平だと次のように書いている。
「セブ(ベッテルの愛称)は危機的状況だ。それはフェラーリの失敗でもある」