ホンダが2018年以降複数のF1チームにパワーユニットの供給を行う準備を進めていることをほのめかした。
■来シーズン末までには複数チームへの供給可能に
これまでのところ、マクラーレンがホンダとの間に独占供給契約を結んでいるが、新たなレギュレーションではエンジンサプライヤーは2チーム以上のチームにパワーユニットの供給を行うことができるようにしなくてはならないことになっており、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)もホンダに対して複数チームへの供給を行うようプレッシャーをかけているとされている。
スペインの『Marca(マルカ)』から、マクラーレン以外のチームへもパワーユニットの供給を行う準備を進めているのかと質問されたホンダF1プロジェクト責任者の長谷川祐介は次のように答えている。
「現時点ではノーです。しかし来シーズン(2017年)末までにはそういう選択肢に向けた準備を整えられると思います」
長谷川によれば、これまでほかのチームからも多くの問い合わせを受けてはいるものの、まだ「真剣な」交渉は行われていないという。
■複数チームへの供給のメリットは?
ホンダにとってはマクラーレンがどこよりも優先すべきチームであることは確かだが、そのマクラーレンとのプロジェクトを成功に導くためにも、2つめのチームにパワーユニットを供給することでよりよい分析を可能としたいと考えているのではないかとの想像もできる。
例えば、1年落ちのフェラーリパワーユニットを搭載しているトロロッソが、前戦F1シンガポールGPではかなりの競争力を発揮し、予選では2台ともマクラーレン・ホンダよりも上位につけていた。
この件について質問された長谷川は、「データの分析は行っていませんが、その事実から考えればトロロッソのシャシーが非常によいということになるでしょうね」と答え、次のように付け加えた。
「我々としてはホンダのエンジンは旧型のフェラーリエンジンよりは少しよいと信じています。ですから、シャシーがあのサーキットにうまく合っていたのでしょう」
■最有力候補はザウバーか
そんな中、スイスの『Blick(ブリック)』は、ホンダパワーユニット搭載を選択する最も現実的な候補チームは、新オーナー登場により経営が安定したザウバーではないかと報じている。ザウバーは近年フェラーリからパワーユニット供給を受けているが、フェラーリが実質的Bチームとも言われるハースとのコラボを強化していることもあり、条件さえ整えばホンダに乗り換えるという選択を行う可能性も出てきそうだ。