アップルによるマクラーレン買収交渉を『Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)』などが報じたが、アップルにどれほどメリットがあるのだろうか?
●【マクラーレン】アップル、マクラーレン買収交渉 2,000億円規模
マクラーレンは最先端のテクノロジー・グループとして、F1や自動車など複数の企業で構成されており、アップルにとってマクラーレン・グループが入るメリットは大きいだろう。
■アップルの最大の関心事は『自動運転技術』
今、自動車メーカーだけではなく、アップルやGoogle、Uberなどテクノロジー企業も『自動運転技術』の開発競争に参戦し加熱している。
アップルが今やらなければならないことは『自動運転技術』競争をリードすることで、ただ自動車メーカーになりたいわけではないのは明らかだ。
アップルとしては、今から自動車を製造する施設やノウハウを蓄積してリソースを分散するよりも、アップルが得意とするソフトウェアに集中する方が人材も揃っており、『自動運転技術』争いにとっては有利と考えられる。
■アップルとマクラーレンの共通点は“美しさ”
とはいえ、アップルにとってハードである自動車製造も捨てがたいだろう。
なぜなら、アップルはiPhoneやMacなど、これまでソフトもハードも一貫して自社製品として作り上げており、ハードとソフトの統一感や世界観、自社製品だからこそ細部の“美しさ”へこだわりを持って作ることができている。
それらが“ブランド力”となって、今のスマートフォン市場をリードし、ファンを増やし続けている重要なキーでもある。テクノロジー業界において、ただの技術屋ではなくデザインにも力を入れ続けてきたのだ。
これらを考えると、アップルの自動車製造はマクラーレンと連携する方が得策かもしれない。なぜなら、マクラーレンはF1や高級スポーツカーなど自動車の“最先端技術”に関わり続けているだけではなく、“美しさ”にもこだわりを持ち続けてきた企業だからだ。
“最先端技術”と“美しさ”を追い求め、“トップを目指す”企業風土こそが、アップルとマクラーレンの最大の共通点でもある。つまり、経営トップだけではなく、働く従業員も同じものを好むことは両社にとって大きなメリットになるだろう。
アップルがこれまでの歴史の通り、ただ『自動運転技術』をリードしたいだけではなく“美しいApple Car”という作品とともに自動車業界でトップを目指そうとしている、と考えると、ここにマクラーレンが関わることは自然なことかもしれない。買収にしても資本提携にしても、両社が手を組めば“美しいApple Car”が市販化に向けて加速する可能性は大きい。