唯一の女性F1チーム代表として知られるザウバーのモニシャ・カルテンボーンが、欧州委員会が「近いうちに」F1の運営や収益分配に関する裁定を出すだろうと語った。
ザウバーとフォース・インディアの2チームは2015年9月に、F1の意思決定システムや収益分配システムは違法だとして欧州委員会に正式に申し立てを行っていた。そして現在欧州委員会の競争法専門家たちがその申し立てに基づいて調査を行っている。
■チーム売却で生き延びたザウバー
チームスタッフに対する給与遅配が明るみに出るなどまさに破たん寸前の状態にあったザウバーだが、謎めいたスイスの投資家グループによって買収され、なんとか危機を逃れることができたと考えられている。
だが、ザウバーの新オーナーとなったロングボウ・ファイナンスと呼ばれる投資家グループの実態が今一つ不透明なこともあり、スイスのメディアの中には今後のザウバーの経営状況が改善されるとは思えないと報じているところもあるようだ。
こうした報道に関し、カルテンボーンはドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』に次のように語った。
「もちろん、批判するのは自由です。ですが、自分たちに批判を行うことができるだけの専門知識があるかどうかも熟考すべきです」
「私たちのことを見限るのは行き過ぎだと私は思うのです。私たちはモータースポーツが行われていないスイスから40年にもわたってF1の重要なパートナーを務めてきているのですからね」
■F1のシステム変革を問う姿勢に変わりはない
今回のチーム買収によってひとまず経営破たんの危機を脱したと考えられているザウバーだが、今後もより公平な収益分配をF1に対して求めていくつもりかと質問されたカルテンボーンは、「当然です!」と答え、「今回のことで私たちのEU競争法委員会に関する立場が変わることはありません」と付け加えた。
さらに、いつごろ委員会の裁定が下ることになりそうかと尋ねられたカルテンボーンは次のように語った。
「もうすぐだと確信しています」
「私たちはもっと金が欲しいという理由でそうしているわけではありません。収益分配や意思決定の方法によっていくつかのチームに特権が与えられているのです。ですから、それによって競争力においても有利になるわけです」
そう語ったカルテンボーンは、今後チームとしてザウバーが目指すのは「安定」だと次のように続けた。
「BMWと組んでいたときのようにすべてを増強するようなことをするつもりはありません。選択的かつ特異的な部分で拡大することを目指せば、私たちはまた効率的な活動ができるようになるでしょう。それがこれまでの私たちの強みだったのです」