来週末に行われるF1シンガポールGPでは、通常よりも激しいトップ争いが展開されるかもしれない。
過去最多の全21レースで行われている2016年のF1シーズンだが、すでに3分の2にあたる14戦を消化し、残りは7レースとなっている。だが、今年のF1タイトル争いに関してはすでに決着を見たも同然の状態だ。
■フェラーリの視線はすでに2017年に
コンストラクターズランキングでは首位のメルセデスAMGが現時点で2番手のレッドブルに200ポイント以上の差をつけており、3年連続でコンストラクターズタイトルを取るのはもはや99.9%確実だと言っていいだろう。そしてドライバーズタイトル争いも現実的にはメルセデスAMGのルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグの2人に完全に絞られている。
今季メルセデスAMGの最大のライバルとなるだろうと目されていたフェラーリだが、すでに視線は2017年へと向けられている。
「これまでにも何度か言ってきたが、2017年型車の開発作業はかなり早い時期に始まっており、非常に精力的に進められているよ」
フェラーリのチーム代表を務めるマウリツィオ・アリバベーネはそう語ると、次のように付け加えた。
「今後、我々としてはF1選手権で2位の位置を確保したいと思っているし、レースで勝利を飾り、強いフェラーリを示したいと思っている。我々にとって最大のチャンスとなるのはシンガポール(第15戦/18日決勝)、鈴鹿(第17戦日本GP/10月9日決勝)、オースティン(第18戦アメリカGP/10月23日決勝)だと私は見ているよ」
■シンガポールではフェラーリにもチャンス
確かに、来週末にマリーナ・ベイ・ストリート・サーキットで開催されるシンガポールGPが接戦となる可能性は高い。
昨年は絶対王者のメルセデスAMGがシンガポールでは謎の不調に苦しめられ、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がポール・トゥ・ウィンを飾ったことも記憶に新しいところだ。
だが、当然ながらメルセデスAMGとしても今年も昨年同様の苦戦を強いられることは避けたいと考えている。
メルセデスAMGを率いるトト・ヴォルフは、次のように語った。
「(モンツァでの)ミーティングでシンガポールに向けた準備についても話し合った。昨年は最高の仕事を行うことができなかったからね」
「シンガポールでは、我々の対策が間違っていなかったかどうかが分かることになる」
■シンガポールではレッドブルも優勝候補に
だが、最近の状況を考えれば、今年のシンガポールでメルセデスAMGにとって最大の脅威となるのは、フェラーリではなくレッドブルのほうかもしれない。
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、「シンガポール、セパン(第16戦マレーシアGP/10月2日決勝)、鈴鹿、そしてメキシコ(第19戦/10月30日決勝)は我々に合ったサーキットだ」と語っている。
確かに、昨年は今年ほどの強さを持っていなかったレッドブルだが、シンガポールではダニエル・リカルドが予選2番手に入り、決勝でもその位置を守って2位でフィニッシュしている。
さらに、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、次戦シンガポールにおいてもF1カーに新たな改良パーツを導入するとともに、エンジンサプライヤーであるルノーも「エンジンをアップグレードしてくる」と認めている。
■もう来季に期待するしかないとベルガー
しかし、元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーは、いずれにしても今季もメルセデスAMGが圧倒的強さでシーズンを終えるのは間違いないと考えている。
「(モンツァで)我々はメルセデスAMGのリードがどれほど大きいかを目の当たりにした」
ドイツのテレビ局『Sky(スカイ)』にそう語ったベルガーは、次のように付け加えている。
「我々にできるのは、冬の間に何かが起きることを期待することだけだ。そうすれば、来年の上位争いはもっとエキサイティングなものになるだろうからね」