デンマークを代表するレースドライバーであるジェイソン・ワットが、F1ベルギーGP(第13戦)決勝で大きなクラッシュを演じた同郷ドライバーのケビン・マグヌッセン(ルノー)の将来を案じている。
■マグヌッセンのイタリアGP出走には医師のゴーサインが必要
スパ・フランコルシャン・サーキットの名物コーナーであるオー・ルージュを駆け上ったところでクルマのコントロールを失ってタイヤバリアに激突してしまったマグヌッセンは、40Gを超える衝撃を受け、足首に打撲を負ったことが伝えられている。
現時点ではそれ以外に大きなけがはないと伝えられているマグヌッセンだが、受けた衝撃が大きかったことにより、今週末のイタリアGP(4日決勝)に出走できるかどうかは1日(木)に行われるFIA(F1統括団体の国際自動車連盟)の医師による診断の結果で確定することになっている。
「体調はかなりいいから、それはすごくいいニュースだね」
そう語った23歳のマグヌッセンは、次のように付け加えた。
「何度も受けた検査の結果は僕がモンツァでレースができると示しているし、きっと今週末もクルマに乗ることになるよ」
■来季ドライバー検討期のクラッシュは痛かった?
だが、今回のクラッシュはマグヌッセンにとってはタイミングが悪かったと言えるかもしれない。現在、ルノーではまだ2017年のドライバーラインアップを確定しておらず、マグヌッセンもほかの候補ドライバーたちとともにそのシート獲得を目指しているところだからだ。
マグヌッセンはベルギーGPの予選ではQ2に進出し、12番グリッドを確保していた。そして、レースでも開始早々に起きた混乱に乗じて順位を上げ、クラッシュを喫したときにはトップ10内で走行していた。
せっかく、今季2度目のポイント獲得の可能性が膨らんでいたやさきにクラッシュを起こしたことで、マグヌッセンに対するチームの信頼がゆらぐ可能性も否定できない。
■チームは実力を冷静に判断するべき
「もちろん、理想的な状況ではないよ」
かつて国際F3000やデンマーク・ツーリングカー選手権などで活躍したワットは『Ekstra Bladet(エクストラ・ブラデ)』にそう語ると、次のように続けた。
「彼にとってはジョリオン・パーマー(チームメート)との差をより大きくするための絶好のチャンスだったからね」
「だけど、ああいう事故は起こりえることだと理解をした上でケビンの評価をするべきだし、彼が予選と決勝どちらにおいてもチームメートよりも明らかに速かったということを認識するべきだと思う」
「僕は、彼のチャンスがこれでダメージを負ってしまったとは思っていない。彼が先週よりも悪くなったことは何もないと思っているよ」
■ライバルたちがひしめき合うルノーのシート
だが、ルノーに関しては多くのドライバーが来季のシートを狙っているのが確かだけに、マグヌッセンがさらに厳しい状況に置かれることになったのは確かかもしれない。
「外部の人間である僕が知る限りにおいては、ケビン、ジョリオン・パーマー、セルジオ・ペレス(フォース・インディア)、エステバン・オコン(マノー)、そしてフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)による戦いになりそうだね」
そう語ったワットは、次のように付け加えた。
「ペレスが強そうだし、彼は多くのスポンサー資金も持っている。僕は彼が来季は(ルノーの)もう1台のクルマに乗ることになると信じているよ」
そのペレスに関しては、最近ルノーへ移籍する線は消え、来季もフォース・インディアに残留することになりそうだとの報道も行われている。
いずれにせよ、マグヌッセンが来季もルノーに、そしてF1に残れるかどうか、今週末のイタリアGPもひとつの正念場となりそうだ。