3レース連続で表彰台を逃したフェラーリに対し、イタリアのメディアを中心に「危機」論がさらに過熱している。
7月終盤には技術部門のかなめであったテクニカルディレクターのジェームス・アリソンがチームを離脱するという状況を迎えたフェラーリだが、そうしたチーム内の状況を反映するかのように、ここ数戦では明らかにレッドブルの後手に回っている。
先週末に行われたF1ドイツGP(第12戦)決勝ではセバスチャン・ベッテルがレース中に無線を通じてチームのレース戦略に関する疑問を口にするといった光景が見られたこともあり、イタリアのメディアもフェラーリの「危機」は深まるばかりだと報じている。
■現在の弱点はダウンフォース不足だとアリバベーネ
アリソンの離脱についてはさまざまな憶測が伝えられているが、この件に関して質問されたフェラーリのチーム代表マウリツィオ・アリバベーネは次のように答えた。
「個人的な理由により、ジェームスのことについては話をしたくないんだ」
「我々は現在、(チーム組織の)再編を進めているところだがパニックに陥ってなどはいないよ。自分たちがやるべきことをはっきりと認識できているからね。そしてクルマに関しても改善する必要があるエリアに関して明確に理解できているよ」
そう語ったアリバベーネは、現在のフェラーリの弱点はダウンフォース不足だと次のように付け加えた。
「ダウンフォースに関して、我々はバルセロナ(第5戦スペインGP)以降ほとんど進歩することができていない。エンジンに関してはあまり心配ないよ。これから夏休みで作業が中断されることになるが、その後はアクセル全開で進めていくよ」
■アリソン離脱はいいニュースではないとラウダ
だが、メルセデスAMGの非常勤会長であり、現役時代にはフェラーリでF1タイトルを獲得したこともあるニキ・ラウダは、アリソンの離脱以後フェラーリが順調に開発を行っていけるかどうかは疑問だと考えている。
ラウダはドイツの『Welt(ヴェルト)』に次のように語った。
「シーズンの中盤にああいう重要なポストが変わるというのはいいニュースではないし、混乱と議論をもたらすだけだ。とりわけフェラーリのようなチームではね」
■不満など感じているひまはないとベッテル
そんな中、ドイツGP決勝後に、現在のフェラーリは2014年にフェルナンド・アロンソ(現マクラーレン・ホンダ)が離脱することを決めたときと同じような状況にあるのではないかと質問されたベッテルは、スペインの『AS』紙に次のように答えた。
「分からないよ。僕は彼がどういうふうに感じていたかなんて知らないしね。だけど、僕は今のチームスピリットはものすごく高いと思っているよ」
「もちろん、昨年はいい年だったけれど、今年は予想していたよりも少し悪い状況が続いている。だけど、僕たちは戦うためにここにいるんだ。今、不満を感じ始める理由なんて何もないよ」