昨年ニュルブルクリンクでのF1ドイツGPがキャンセルされたことにより、今週末ホッケンハイムで2年ぶりにドイツGP(31日決勝)が開催されることになる。だが、ドイツGPの将来については依然として不透明な状況だ。
■昨年は1960年以来となるドイツ国内でのF1開催なし
2007年以降ニュルブルクリンクとホッケンハイムが隔年でドイツGPを開催してきていたが、2015年は経営破たんに陥ったニュルブルクリンクが開催権料を負担することができずにレースがキャンセルされ、このパターンが崩れてしまった。
ちなみに2007年のニュルブルクリンクでのレースはイベント名称使用権問題によりヨーロッパGPとして開催されたが、ドイツ国内でまったくF1レースが開催されなかったのは1960年以来のことだった。
2015年には急きょニュルブルクリンクの代わりにホッケンハイムでの開催も検討されたが、それも不調に終わっている。
■2019年以降はホッケンハイムでの開催も不透明
これに関し、ホッケンハイムの責任者であるゲオルグ・ザイラーは『SID通信』に次のように語った。
「我々は2016年と2018年の開催契約を結んでいる。そしてそれ以外は我々が開催する番ではないんだ」
ザイラーは、事実上2017年のドイツGPを主催する可能性を否定するとともに、2018年のレースは開催するもののその後はどうなるか分からないと次のように付け加えた。
「もちろん、我々もF1をキープしたいと思っている。サーキットのイメージのためにもね。だが、そのためには商業的に成り立つレベルでなくてはならない」
■開催に否定的なニュルブルクリンク
新たにニュルブルクリンクの責任者に就任したミルコ・マークフォートもF1開催には興味を示したものの、問題はやはり金だと次のように語った。
「我々もドイツGPを主催できればいいと思っているよ。だがそのためには適正な経済状況が実現されなくてはならない」
■ヨーロッパのサーキットが抱える問題は?
ホッケンハイムのザイラーは、アゼルバイジャンやその他の新F1開催地がF1開催権料を引き上げてしまっているのが問題だと次のように主張した。
「仮に20の国が1レースにつき5,000万ユーロ(約58億円)を支払うことができれば、F1はおそらくそうした国々だけで開催されることになるだろう」
「だが、我々にはそんな公的資金など得られない。我々はファンに頼るしかない状態なんだ」
■急速に進む若者のF1離れ
かつて7度F1チャンピオンに輝いたドイツ人F1ドライバーのミハエル・シューマッハが活躍していたころには、ドイツでもF1全盛期を迎えていた。だが、そうした時代はすでに終わってしまっている。
ザイラーは、ホッケンハイムに来る観客の年齢層が以前よりも上がってきていると付け加えた。つまり、若いファンがF1から離れてしまっているということだ。
ドイツのテレビ局『RTL』によれば、今週の日曜日(31日)に行われるドイツGP決勝のチケットは目標の60,000枚に対し、現時点ではまだ52,000枚しか売れていないという。