2015年に17歳でF1デビューを飾ったマックス・フェルスタッペンが、その後も順調にF1キャリアを歩み続けている。
■フェルスタッペン、レッドブル昇格後6戦で3回表彰台
今季は当初トロロッソで2年目のF1シーズンを迎えていたフェルスタッペンだが、第5戦スペインGPからトップチームのレッドブルに昇格。そのレースでメルセデスAMG勢が同士打ちで消えるという幸運にも恵まれ、F1史上最年少優勝記録を更新してみせた。
そして第9戦オーストリアGPで2位表彰台に上ると、前戦イギリスGPでも3位でゴール。その後ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)に10秒加算ペナルティーが科されたことにより、結果として2戦連続での2位となっている。
スペインの『El Pais(パイス)』紙は、「フェルスタッペンは鮮やかだった。この18歳の天才が現れたことはF1にとって幸運なことだ。フェルスタッペンは新たな(アイルトン)セナだ」と称賛。このレース後に行われたファン投票により、フェルスタッペンは今季10戦を消化した時点で4度目のドライバー・オブ・ザ・デーにも選出されている。
■F1の重鎮をも驚かせたベケッツでの追い抜き
特に、フェルスタッペンがレース前半にベケッツと呼ばれる高速コーナー(ターン13)でアウトサイドからロズベルグを追い抜いてみせたシーンは多くのファンを驚かせるものだった。
その見事な追い抜きに関しては、レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーも「マックスは我々を驚かせ続けているよ」とコメント。
さらに、伝説的元F1ドライバーであるジャッキー・スチュワートもスイスの『Blick(ブリック)』紙に次のように語った。
「ロズベルグを外側から抜いてみせた彼(フェルスタッペン)の追い抜きは、世界でも一級のものだとしか言いようがない」
「すでに誰もが、将来のF1チャンピンが誰なのかということを分かっている」
■フェルスタッペンに押され気味のリカルド
こうしたフェルスタッペンの活躍の陰で、少々複雑な立場に置かれているのがレッドブルの先輩ドライバーであるダニエル・リカルドだろう。開幕戦から第4戦までチームメートを務めていたダニール・クビアト(トロロッソ)には4レースすべてで勝っていたリカルドだが、フェルスタッペンが昇格してきてからの6レースではチームメートに対して2勝4敗と負け越している。
しかも、予選ではこれまで一度もフェルスタッペンに負けていなかったものの、イギリスGPではついに予選でもチームメートに敗れてしまっている。
ホーナーもそんなリカルドを気遣うように、次のように語った。
「チームメートに負けるのは誰だっていやなものだ。だが、ダニエルにとっては(イギリスGP決勝で)バーチャル・セーフティカーが導入されたのが不運だったんだ」
「彼は2016年にもすでに自分がどういうレベルのドライバーなのかということを示してみせている。そして、2人の本当に競争力のあるドライバーを抱えているというのはチームにとって素晴らしいニュースだよ」
■トレードマークのほほ笑みも減ったリカルド
だが、フェルスタッペンと同じオランダ出身の元F1ドライバーであるロバート・ドーンボスは、勢いは明らかにフェルスタッペンの側にあると考えている。
「マックスがチームに加わってから、クルマはどんどんよくなってきている」
オランダのテレビ局『Ziggo Sport Totaal(ジッホ・スポルト・トタール)』にそう語ったドーンボスは、次のように付け加えた。
「それが偶然なのか、何かマックスと関係があるのかどうかは分からない。だが、いずれにせよ、リカルドの顔に浮かぶほほ笑みは小さくなり、マックスの顔に浮かぶほほ笑みのほうが大きくなっているよ」