「F1は現在の無線通信禁止ルールを撤廃すべきだ」
そういう声がF1界で再び大きくなっているようだ。
先週末にシルバーストンで行われたF1イギリスGP(第10戦)は、2位でゴールしていたニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)が無線通信ルール違反を行っていたとして、レース後に10秒加算ペナルティーが科され、3位に降格するという結果に終わっていた。
レース終盤にギアボックストラブルに見舞われたロズベルグに対し、チームが無線でその対処方法を伝えていたことがルールに違反するものだったと認められたためだ。
■今後この件について話し合うとメルセデスAMG
この裁定が出た当初は控訴の意向も示していたメルセデスAMGだが、最終的には今回の競技委員たちの判断を受け入れることにしたと正式に発表している。だが、メルセデスAMGはその声明の中で次のように語っている。
「今後数週間にわたって、我々はこの行き過ぎたルールに関してF1の主要関係者たちとの話し合いを続けていくつもりだ」
■いっそのこと無線を完全禁止にすべきとの皮肉も
あるメルセデスAMGのエンジニアは、ツイッターを通じてこのルールは「ナンセンス」だと主張。「もしニコがあの無線通信によってペナルティーを受けるのであれば、もうクルマから無線装置をはずしてその分車体を軽くしたほうがいいかもしれないね」と付け加えている。
1970年代から80年代にかけて活躍した元F1ドライバーのジョン・ワトソンは『Guardian(ガーディアン)』紙に次のように主張している。
「すべて禁止にすることを考えるべきだね。あんなものは全部禁止すればいいんだ。無線をすべて取り払ってしまうがいい」
■無線通信制限は「怠慢」ですらある
だが、ウィリアムズのチーフテクニカルオフィサーを務めるパット・シモンズは、非常に高度なテクノロジーが導入されている現在のF1では、チームとドライバーが無線で通信することを許されるべきであるのは言うまでもないことだと次のように主張している。
「仮に、自分たちのドライバーにクルマのブレーキが壊れそうだということを伝えることができなければ、クルマにとてつもなく大きな損害を与えてしまうことになるだろう。(無線通信禁止は)単に間違っているだけでなく、怠慢だよ」
■無線通信制限はF1にはふさわしくない
かつてマクラーレンやレッドブルで活躍した元F1ドライバーのデビッド・クルサードも今回のロズベルグのペナルティー問題に関しては批判的だ。
「ペナルティーが科せられるべきだったかどうかを語る意味もないね。私はこれ(無線通信制限)について興味はないし、このスポーツにはふさわしいものではないからだ」
『Telegraph(テレグラフ)』のコラムにそう書いたクルサードは、次のような疑問で結んでいる。
「バーニー・エクレストン(F1最高責任者)は、どんな記事であれいい宣伝になるという考え方を持っている。だが、不満に満ちた状態で何かについて語ることが、本当に我々が必要とする効果を生むだろうか?」