スイスに拠点を置くF1チームのザウバーは、先週末に隣国オーストリアのレッドブルリンクで行われたF1オーストリアGPを複雑な思いで終えることになってしまった。
●【結果】F1オーストリアGP決勝の順位、タイム差、周回数、ピット回数
■ザウバーが新たな出資者確保との報道
もはや破たん寸前とも言われるほどの財政苦境に立たされていたザウバーだが、オーストラリアGP開幕前に遅配となっていたスタッフへの5月分と6月分の給与が支払われたことが明らかとなっていた。そしてこれはチームに新たな出資者が誕生することを意味するものであり、その正式発表が近々行われることになったとも報じられている。
ザウバーのチームマネジャーを務めるベアト・ツェンダーもオーストリアGPが開幕したばかりのレッドブルリンクにおいて、「もちろん、雰囲気も変わってきているよ。今では誰もが未来があると信じているからね」と語っていた。
そうした前向きなニュースが伝えられていたザウバーだが、レッドブルリンクでのレースはチームの今後に大きな影響を及ぼす可能性を持つ結果となってしまった。
■ザウバーが唯一のノーポイントチームに
これまでコンストラクターズランキングで最下位に位置していたマノーのパスカル・ウェーレインがオーストリアでは輝きを見せ、予選で12番グリッドを確保すると、決勝でもその勢いを保ったまま10位でゴールしたのだ。
すでにチームの運営体制は変わったものの、今は亡きジュール・ビアンキが2014年のモナコGPで獲得して以来のポイントを新生マノーにもたらしたウェーレインは、その1ポイントは「チームにとってものすごく重要なものだ」と『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に語った。
現在のF1賞金システムは年間最終順位によって決まるが、今回のポイント獲得によってマノーが最下位を脱出。そしていまだノーポイントのザウバーが最下位に転落してしまったのだ。これがザウバーにとっては大きな打撃となる出来事だったのは確かだ。
■クルマの改善が必要だとナッセ
ザウバーのフェリペ・ナッセは、母国ブラジルの『UOL Esporte(ウニヴェルソ・オンライン・エスポルチ)』に次のように語った。
「チームの全員がこれに対応しなくてはならないということだ。つまり、クルマの開発が必要だということだよ」
「クルマをアップグレードすべきときに来ているのは明らかだし、それはシルバーストン(イギリスGP/10日決勝)後に予定されているよ」
だが、ザウバーのチーム代表であり、共同オーナーでもあるモニシャ・カルテンボーンは、オーストラリアGP後に出されたチーム公式レビューの中で今週末のイギリスGPから反撃に転じたいと次のように主張している。
「次のレース(イギリスGP)では、改良された(フェラーリ製)エンジンを手に入れることになりますし、前進を果たすために全力を尽くします」