今週末にF1ヨーロッパGP(19日決勝)として、アゼルバイジャンで初めてのF1グランプリが開催されることになる。舞台となるのは、“城塞(じょうさい)都市”あるいは“風の街”とも呼ばれる首都バクーの中心部に設けられた市街地サーキットだ。
【動画】世界遺産を駆け抜ける、バクー市街地コースでの初テスト走行のオンボードカメラ映像
市街地サーキットながら、時速340kmに及ぶと考えられている長いストレートを有し、同時に旧市街地部分ではクルマ1台分ほどしかない狭いコースもあるなど、ユニークなサーキットであることが知られており、各チームが出した公式プレビューでは、どのドライバーもこのコースへの期待感を表明している。
だが、バクー市街地サーキットにドライバーたちの本音は、そうした公式リリースに書かれているものとは少し違うようだ。
■市街地コースだとは思わないとハミルトン
2014年と2015年に2年連続でF1チャンピオンとなり、今年はその防衛と自身4度目のF1タイトル獲得を目指すメルセデスAMGのルイス・ハミルトンは、ブラジルの『UOL(ウニヴェルソ・オンライン)』に次のように語った。
「すごく長いストレートがあるよね」
「市街地サーキット? 僕はモナコみたいなところが市街地サーキットだと思うんだ。あそこ(バクー)にはところどころにかなり広い部分がある。なぜそういうサーキットにしてしまったのか分からないよ。でも、ワクワクするようなものになるのを期待しているけどね」
■レイアウトはかなりシンプルだとベッテル
フェラーリのセバスチャン・ベッテルは、シミュレーターでバクー市街地サーキットを走ってみたことがあるという。
「いくつか面白い部分もあるけど、そのほかの部分はかなりシンプルだと思ったよ」
そう語ったベッテルは、笑いながら次のように付け加えた。
「少なくとも、カナダよりは暑くなるだろうけどね」
■重要なのはエンジンパワー
最高速度が高速サーキットとして知られるスパ・フランコルシャン(ベルギー)やモンツァ(イタリア)に匹敵するだろうと言われているサーキットだけに、ウィリアムズのフェリペ・マッサはこのサーキットもエンジンパワーでの勝負になるだろうと考えている。
「一か所かなり狭い部分があるから、少しソチみたいな感じだね」とマッサは付け加えた。
それに対し、トロロッソのダニール・クビアトはスペインの『Marca(マルカ)』に「僕はバレンシア(スペイン/市街地コース)に似ていると思う」と語り、チームメートのカルロス・サインツはチーム公式プレビューの中で、F3レースで有名なマカオに似た感じだと語っている。
■ストレートで勝負が決まってしまうとレッドブル
一方、ルノーのパワーユニットの進化を喜んでいるレッドブルだが、それでも非常に長いストレートがあるバクーにはそれほど期待はできないだろうと見ているようだ。
レッドブル首脳陣の一角を占めるヘルムート・マルコは、オランダの『De Telegraaf(テレグラーフ)』に次のように語った。
「我々の計算では、あのストレートで我々は1.2秒を失うことになると見ている。我々には素晴らしいクルマがある。だが、コーナーだけでその遅れを取り戻すことは絶対無理だよ」