ここ数年F1人気が著しく減少したと言われているドイツだが、先週末のF1モナコGPの視聴率は過去3年間で最高を記録したと伝えられている。
■モナコGP視聴率が過去3年で最高を記録
ドイツの『Bild(ビルト)』紙によれば、モナコGP決勝を581万人のドイツ人がテレビ観戦したという。現在、ドイツではテレビ局『RTL』がF1の無料放送を行っている。
ドイツ出身の元F1ドライバーであり、現在はF1解説者を務めるクリスチャン・ダナーは次のように語った。
「F1がまた魅力的になってきているようだ」
「メルセデスAMG同士のクラッシュ、フェルスタッペン(レッドブル)の18歳での勝利などがあったが、観客もそれを歓迎している」
■ファンを呼び戻した混戦の兆し
確かに、2014年と2015年はメルセデスAMGが圧倒的な強さを見せたが今季は少しばかり様子が違っている。3年連続で4度目のF1王座を狙うルイス・ハミルトンには信頼性の問題が多発し、大きく出遅れている。ランキングトップはやはりメルセデスAMGのニコ・ロズベルグだが、最近ではフェラーリばかりでなくレッドブルからも強いプレッシャーをかけられている。
メルセデスAMGを率いるトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)は、現在のチーム状況について次のように語った。
「我々は、すべてのシステムを限界まで働かせようとしている」
「我々にとっては繰り返し問題が発生するのは不満が募るものだ。だが、ライバルたちが今さらに激しく我々を追い上げてきているのはF1にとってはいいことだよ」
スイス出身の元F1ドライバーであるマルク・スレールも「観客たちもメルセデスAMGにライバルが出現したと見ているんだ」と現在の状況を分析している。
■「これでベッテルが勝ってくれれば」とホッケンハイム
ともあれ、ドイツ国内でF1人気が復調の兆しを見せているのは、今年のドイツGP(7月31日決勝)を開催するホッケンハイムにとってもいいニュースであるのは確かだろう。ここ数年減少し続けていた入場者が今年はまた増加に転ずる期待ができるからだ。近年はニュルブルクリンクとホッケンハイムによって交互開催されてきていたドイツGPだが、昨年はニュルブルクリンクの財政問題によりドイツGPがキャンセルされるという事態となっていた。
2年ぶりのドイツGPにどれだけの観客が訪れるかということが、ある意味では今後のドイツGP継続にも大きな影響を及ぼす要素となるのは確かだろう。
ホッケンハイムでのレース主催者であるゲオルグ・ザイラーは次のように語っている。
「トップの混乱が続いてくれることを願うよ。今我々に必要なのはセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が勝利することだ。そうすれば7月にはとてつもなくエキサイティングなレースが期待できるよ」