2017年からF1カーに関するレギュレーションが大幅に変わることになっており、これまでより車体の幅が広められ、ダウンフォースも強化されることになっている。
F1公式タイヤサプライヤーであるピレリは、2017年からのレギュレーションに合わせてこれまでとは大きく異なるコンパウンドの幅広タイヤを開発・製造しなければならないが、F1のトップチームたちがテスト車両を提供し、そのテストに協力することになる。
■最初にテストを行うのはフェラーリ
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によれば、ピレリは2017年に導入される新ルールに合わせて改造されたテスト車両を用いて実際にサーキットでのテストを行うことを望んでいるが、まずフェラーリが最初にテスト車両を用意することになりそうだとしている。
「現時点では、フェラーリはドイツGP(第12戦/7月31日決勝)までに準備を整えることができそうだ」と『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は報じている。
フェラーリでは、現状よりも25%ダウンフォースが増強される2017年の規格に合わせて、2015年型車に改造を施したテスト車両を用意。これを使ってフェラーリ所有のサーキットとして知られるフィオラノでテストを行うことになると考えられている。
■レッドブルとメルセデスAMGも8月以降にテスト実施予定
さらに、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、フェラーリに次いでレッドブルも8月初旬にはテスト用車両を準備できそうだとし、こちらはフランスのポール・リカールでテストが行われることになるだろうと付け加えている。
フェラーリとレッドブル以外に、ピレリのテストのためにテスト車両を用意することになっているのはメルセデスAMGだが、こちらのテスト車両が用意されるのは8月下旬となり、テストはイギリスのシルバーストンで行われることになるだろうという。
■巨額のコストを負担するトップ3チーム
テスト車両を提供するフェラーリ、レッドブル、メルセデスAMGは、ほかのチームに比べて大きなアドバンテージを得ることになるという批判的意見も出てくることが考えられる。だが、このトップ3チームがそのために巨額のコストを負担することになるのも事実だ。
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、このテストのためにチームとしては少なくとも150万ドル(約1億6,500万円)もの追加予算が必要になるだろうと見積もっている。
テスト車両の製造に当たっては、新たなサスペンションレイアウトの製造やクラッシュテストが必要となるほか、風洞テストやCFD(数値流体力学)等による解析時間などに多額の費用がかかるためだ。
だが、メルセデスAMGの技術担当エグゼクティブディレクターであるパディ・ロウは、それだけのコストをかけても、それを自分たちの2017年型車設計に利用してはならないことになっていると、次のように主張している。
「我々はこれにかけた時間が2017年用パーツの開発のために用いられていないことを証明する必要があるんだ」