ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌が、ホンダが2017年に向けてこれまでとは完全に異なるコンセプトによるパワーユニット製造に取り組むことになると報じた。
■昨年よりも進歩を遂げたホンダPU
2015年にパワーユニットサプライヤーとしてマクラーレンと組んでF1復帰を果たしたホンダだが、初年度は予想以上の苦戦を強いられてしまった。だが、2016年型パワーユニットは、昨年と比べると明らかに進歩を果たしているのは間違いない。
マクラーレン・ホンダのジェンソン・バトンは、今週末のF1ロシアGP(5月1日決勝)に向けた公式プレビューの中で次のように語っている。
「クルマの感触はいいし、僕たちが正しい方向へ向かっていることは間違いない。でも、もっと進歩を遂げていくために、僕たちは懸命に取り組み続け、さらに改良パーツを投入することとパワーアップを図ることが必要だ」
■それでも大きいメルセデス、フェラーリとの差
苦手とする長いストレートがある上海インターナショナル・サーキットで行われた前戦中国GP決勝では、マクラーレン・ホンダは2台ともに周回遅れとなることはなかった。これがホンダのエンジンパワーが大きく進歩していることを示すものであるのは間違いない。だが、それでもメルセデスAMGやフェラーリのスピードには時速10km以上もの差をつけられているのも事実だ。
『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、6月12日に決勝が行われる第7戦カナダGPでは、ホンダエンジンのパワーがさらに向上するだろうと報じている。それは、ホンダがメルセデスが先駆的に開発した革新的なイグニッションシステムを模倣し、その新エンジンに導入することにしているためだという。
■2017年に向け開発コンセプトを一新か
だが、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』のベテランF1記者であるミハエル・シュミットは、ホンダではV型エンジンの6本のシリンダーがある部分にターボユニットを組み込んだのは基本的な設計ミスだったということを現在では認めていると書き、次のように付け加えている。
「つらいのは、新エンジンの登場は2017年まで待たなくてはならないということだ」
マクラーレン・ホンダでは、通称「サイズゼロ」と呼ばれる非常にコンパクトなマシンの実現を目指しており、ホンダのパワーユニットも上述のターボユニットのサイズや配置などに工夫を凝らしてきている。だが、そのために冷却効率が悪化するという副作用が生じ、それが初年度の信頼不足の大きな要因だったと言われている。