元F1ドライバーのパトリック・タンベイは、今季3年連続で自身4度目のF1タイトルを狙うルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)に関し、ここまでのところは集中力が欠けているようだと見ている。
■すでに36ポイント差がついたロズベルグとハミルトン
先週末のF1中国GPでは予選Q1でクルマにトラブルが発生して最後尾スタートとなっていたハミルトンは、スタート時にもターン1で他車と接触し、さらにハンディキャップを背負うというアクシデントにも見舞われていた。
レースでは最大のライバルであるチームメートのニコ・ロズベルグが昨シーズンから連続6連勝となる今季3勝目を達成。最終的になんとか7位まで追い上げて6ポイントを手にしたハミルトンだったが、今季3戦を終えた時点でロズベルグとのポイント差は36ポイントに開いてしまった。
だが、ハミルトンは昨年までとは違い、かなり余裕のコメントを行っている。
■動じる気配のないハミルトン
中国GP決勝後、ハミルトンは記者たちに次のように語った。
「今は50ポイント差? 36ポイントか、それなら思っていたほど悪くないね。今はかなりいい気分だよ」
「まだこの先はかなり長いし、いろんなことが起こりえるからね。ただ、手元には使えるジョーカーがもう残っていないということさ」
■今のハミルトンはF1での勝負に固執していない?
だが、1970年代から80年代にかけてマクラーレンやフェラーリでも活躍したことのあるフランス出身のタンベイは、昨年までと大きく違ってまったくうろたえるそぶりを見せないハミルトンに関し、F1への取り組み姿勢が変わってきているのではないかとの印象を持っているようだ。
「彼は最優先すべき目標に集中していないよ」
フランスのラジオ局『RMC』にそう語ったタンベイは、次のように続けた。
「彼はすでにF1タイトルも獲得しているし、恐らく今ではこれまでと同じような決意を持ち、同じようなレベルでの取り組みかたをしていないのではないだろうか。逆に今はニコ・ロズベルグがそれを行っている」
事実、スペインの『El Mundo(ムンド)』紙は、昨シーズンからの連勝記録を6に伸ばしたロズベルグを「新たなハミルトン」だと表現している。
■まだ気は抜けないとロズベルグ
メルセデスAMGの非常勤会長であるニキ・ラウダも、ドイツのテレビ局『Sky(スカイ)』に対し、中国でのロズベルグの走りは「F1チャンピオンクラス」のものだったと語っている。
タンベイも、「誰が彼(ロズベルグ)を止められるだろうか? 今の彼にはあまりライバルはいないと思えるよ」と付け加えた。
だが、ロズベルグ本人はまだ気を緩めてはいない。ロズベルグは、過去最多の21レースが行われる2016年シーズンも、まだほんの数えるほどのレースが終わっただけだと主張し、次のように主張した。
「ああ、うまくいっている。だけど今年はF1の歴史においても最長のシーズンだ。そして僕のチームメートであるルイス・ハミルトンは2年連続F1チャンピオンだし、ここまでの3年間においては彼を倒すのはすごく難しかったよ」