F1中国GP決勝後に、フェラーリのセバスチャン・ベッテルがレッドブルのダニール・クビアトに食ってかかった光景がテレビ映像を通じて全世界に紹介されていた。
【画像】ベッテル「魚雷だ!」vs クビアト「いいじゃん」の熱い議論
だが、フェラーリ首脳部はそのベッテルの行為の肩を持つことはしなかった。
■クビアトの攻撃を批判したベッテル
中国GP決勝のスタートが切られ、各ドライバーがターン1へと向かったとき、クビアトがベッテルのインに飛び込んだ。ちょうどそのときチームメートのキミ・ライコネンを同じように追い抜こうとしていたベッテルは、クビアトをかわそうとクルマを左に向けるが、運悪くライコネンと接触。2台ともに順位を下げ、3番グリッドからスタートしていたライコネンはダメージを受けてかなり後方へと沈んでしまった。
このレースを2位で終えたベッテルは、チームに対し無線でわびを入れるとともに、友人でもあるライコネンには直接謝罪の言葉をかけた。だが、3位でフィニッシュしたクビアトに対しては表彰式を待つ控室で怒りをあらわにしていた。
■ベッテルも同じことをしていたはずだとアリバベーネ
しかし、フェラーリのチーム代表であるマウリツィオ・アリバベーネは、ドイツの『Bild(ビルト)』に次のように語った。
「ほかのドライバーのせいにすべきではないよ。これはレースなんだ。モノポリーのようなゲームじゃないんだからね」
「だが、自分たちの2人のドライバーがお互いにぶつかり合うのは決してほめられたことじゃない」
さらに、アリバベーネは母国イタリアのメディアにも次のように語っている。
「クビアトはコーナーに高速で進入してきた。だが、セブ(ベッテルの愛称)やキミだって、彼(クビアト)の立場だったら同じことをしていたはずだ」
ベッテルが少々過剰とも思える反応を示したのは、普段はサーキットに来ることが少ないフェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネが中国GPのガレージに顔を見せていたためではないかと考えている者もいる。
アリバベーネは次のように続けた。
「彼(マルキオンネ)はレースのことはよく分かっているし、よろこんでなどいなかったよ。私もそうだがね」
■フェラーリらしからぬミスだと会長
そして、マルキオンネも次のように語った。
「2人のフェラーリドライバーたちがお互いに接触するなど、フェラーリらしからぬことだ。だが、正直に言えば、私よりも彼らのほうが気恥ずかしいはずだ」
「だから、彼(ベッテル)は謝った。私だってそうしただろう。自分よりももっと経験のある者をこういう状況に巻き込んだのだからね。だが、よかったのは、あそこからのばん回は非常に素晴らしかったということだ。だから、私もそれには満足しているよ」
一時はかなり後方へ沈んだライコネンも最終的には5位まで順位をばん回。今季初めてフェラーリの2台が完走し、コンストラクターズランキングもメルセデスAMGに次ぐ2番手をキープすることができている。
だが、マルキオンネは、2016年シーズン開幕前にはフェラーリが序盤から勝利を重ねていくことが必要だと主張していた。しかし、3戦が終わったものの、フェラーリはまだ勝利をあげることはできていない。
■攻め続けるしかないフェラーリ
その件について質問を向けられたマルキオンネは、上海で次のように答えた。
「フェラーリは成長を続けているし、それを好ましく思っている」
「成長している子供のようなものだ。だが、ときどき少し怒りっぽくなってしまう」
そう述べたマルキオンネは、次のように付け加えた。
「しかし、クルマはそこにある。そして我々はこのように続けていかなくてはならないのだ」