フェラーリのセバスチャン・ベッテルをはじめ、何人かのF1関係者が来週末に行われるF1中国GP(17日)からの導入が検討されることになる予選方式修正案に対して批判的なコメントを行った。
■ベッテルの予想通り失敗した新予選方式
ベッテルは、当初F1が90秒ごとに1人ずつがノックアウトされていくという新予選方式の導入を決めた際にも、この方式は失敗するに違いないとコメント。もっとドライバーやエンジニアの声も聞いて欲しいと非難を行っていた。
案の定、初めて新方式で行われた開幕戦オーストラリアGPの予選は大失敗に終わり、各チーム首脳は昨年までの旧方式に戻すことで合意に達していた。
■迷走する予選問題
ところが、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)やF1最高責任者のバーニー・エクレストンは、単純に以前のルールに戻すことを認めず、予選Q3のみを旧方式に戻すという修正案を提示。しかし、いくつかのチームがこれに反対票を投じたことで第2戦バーレーンGPでも開幕戦と同じ方式での予選が行われていた。
その後も関係者による話し合いが続けられたもののいまだ決着を見ず、あらためて7日(木)に会議が行われる予定になっている。
■FIAが新たに「合算方式」を提案
そして、そこではまたFIAが提案した別の予選方式修正案が検討されることになると伝えられている。それは「合算方式」とも呼ばれているが、予選Q1、Q2、Q3それぞれのセッションで、各ドライバーが行ったアタックラップのうち、ベスト2周のタイムを合算して順位を決めるというものだ。
■F1の本質が損なわれるとドライバーたち
この案についてどう思うかと尋ねられたベッテルは、『Mirror(ミラー)』に次のように答えた。
「もうサーカスに行くべきときかもね」
「予期せぬ結果を求めたいのであればいいアイデアだろうね。だけど、F1はレース第一だよ。くだらないアイデアだ」
また、どうしてF1が今のような状況を迎えることになってしまったのかと『AFP通信』から質問を受けたメルセデスAMGのトト・ヴォルフ(ビジネス部門エグゼクティブディレクター)は次のように答えた。
「簡単に説明すれば、狂気のさただよ」
さらに、レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーも次のような疑問を呈している。
「かなり面白いレースが2レース続いたのに、それでもまだ予選で引っかき回す必要があるのかな?」
レッドブルのダニエル・リカルドも、2014年のチームメートであったベッテル同様の意見を述べている。
「予選は1周だよ。1周の完ぺきなラップで決めるべきだ」
「タイムを合算するなんて、なんだか耐久レースに近くなるように思えるね。僕はそうなって欲しくないな。いやだよ」
■ほかに方法がなければ妥協すべきとバトン
だが、現在の状況を考慮し、妥協することも必要だと考えるドライバーもいる。現役ドライバー中最多出走数を誇るベテランF1ドライバーのジェンソン・バトン(マクラーレン・ホンダ)は、もしその「合算方式」しか選択肢がないのであれば、F1はそれを導入すべきだろうと次のように語った。
「今の(いす取り方式)ものよりはましだからね。どういうものにせよ、今よりはよくなるはずさ。ドライバーが片目を閉じて運転したって、今の予選よりはよくなるだろうね」