F1公式タイヤサプライヤーであるピレリは、F1中国GP(17日決勝)に向けて各ドライバーが選択したドライタイヤの内訳を発表した。
【画像】ロズベルグ、3ストップ戦略で“5連勝”、上位10名が9種類の異なるタイヤ戦略
今年からドライタイヤの運用に関するルールが変更されており、各レースに3種類のコンパウンドが供給される。さらに、ドライバー1人あたり全部で13セットのタイヤがピレリから供給されるが、ピレリが指定した予選用1セット、決勝用2セット以外の10セットに関しては、各ドライバーがその3種類のタイヤのうちから自由に選択できるようになっている。
中国GPにはミディアム(白/以下Mと表記)、ソフト(黄/以下Sと表記)、スーパーソフト(赤/以下SSと表記)の3種類のタイヤが供給されることになっている。ピレリの指定タイヤおよび各ドライバーが事前に選択したタイヤ種類とセット数は以下の通り。
■F1中国GPの指定タイヤ
予選Q3用指定タイヤ:SS(1セット)
決勝用指定タイヤ:M(1セット)、S(1セット)
■内訳:ドライバー選択タイヤ(13セット) | ||
---|---|---|
ハミルトン(メルセデスAMG) | ||
M(4) ●●●● |
S(4) ●●●● |
SS(5) ●●●●● |
ロズベルグ(メルセデスAMG) | ||
M(3) ●●● |
S(5) ●●●●● |
SS(5) ●●●●● |
ベッテル(フェラーリ) | ||
M(3) ●●● |
S(4) ●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
ライコネン(フェラーリ) | ||
M(3) ●●● |
S(4) ●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
ボッタス(ウィリアムズ) | ||
M(2) ●● |
S(4) ●●●● |
SS(7) ●●●●●●● |
マッサ(ウィリアムズ) | ||
M(1) ● |
S(5) ●●●●● |
SS(7) ●●●●●●● |
リカルド(レッドブル) | ||
M(2) ●● |
S(5) ●●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
クビアト(レッドブル) | ||
M(2) ●● |
S(5) ●●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
ヒュルケンベルグ(Fインディア) | ||
M(2) ●● |
S(5) ●●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
ペレス(Fインディア) | ||
M(2) ●● |
S(5) ●●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
マグヌッセン(ルノー) | ||
M(2) ●● |
S(5) ●●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
パーマー(ルノー) | ||
M(3) ●●● |
S(4) ●●●● |
SS(6) ●●●●●● |
フェルスタッペン(トロロッソ) | ||
M(3) ●●● |
S(5) ●●●●● |
SS(5) ●●●●● |
サインツ(トロロッソ) | ||
M(2) ●● |
S(6) ●●●●●● |
SS(5) ●●●●● |
アロンソ(マクラーレン・ホンダ) | ||
M(2) ●● |
S(4) ●●●● |
SS(7) ●●●●●●● |
バトン(マクラーレン・ホンダ) | ||
M(2) ●● |
S(4) ●●●● |
SS(7) ●●●●●●● |
エリクソン(ザウバー) | ||
M(5) ●●●●● |
S(4) ●●●● |
SS(4) ●●●● |
ナッセ(ザウバー) | ||
M(5) ●●●●● |
S(4) ●●●● |
SS(4) ●●●● |
ウェーレイン(マノー) | ||
M(4) ●●●● |
S(5) ●●●●● |
SS(4) ●●●● |
ハリアント(マノー) | ||
M(4) ●●●● |
S(5) ●●●●● |
SS(4) ●●●● |
グロージャン(ハース) | ||
M(1) ● |
S(5) ●●●●● |
SS(7) ●●●●●●● |
グティエレス(ハース) | ||
M(2) ●● |
S(4) ●●●● |
SS(7) ●●●●●●● |
■ミディアムを増やしてきたメルセデスAMG
今回のタイヤ選択で目を引くのは、上海インターナショナル・サーキットがタイヤに厳しいサーキットだということもあり、一番硬めのミディアムの選択セット数が過去2レースに比べると増加しているということだ。全体的にそういう傾向があるものの、過去2戦ではミディアムを1セットもしくは2セットしか選択していなかったメルセデスAMG勢が中国ではルイス・ハミルトンが4セット、ニコ・ロズベルグも3セットと大幅に増やしていることだろう。
なお、硬めのミディアムを一番たくさん選択したのはザウバーだ。2人のドライバーはいずれもミディアムを5セット選択し、ソフトとスーパーソフトは4セットずつとしている。事実上、予選での順位よりも決勝をなるべく少ないピットストップで乗り切るという戦略に割り切っているようにも見える。
■マクラーレン、ウィリアムズ、ハースはスーパーソフトを最多7セット
そんな中、ウィリアムズのフェリペ・マッサとハースのロマン・グロージャンはミディアムは1セットしか選択しておらず、当初からソフトとスーパーソフトをメインとしたタイヤ戦略で週末を乗り切る考えでいることが分かる。
マクラーレン・ホンダの2人のドライバーもミディアム2、ソフト4、スーパーソフト7と、ウィリアムズやハースと似たタイヤ構成を選択しており、こうした戦略がレースにどういう影響を及ぼすのかが興味深くなりそうだ。
ちなみに、ピレリのタイヤ製造スケジュールの関係で、ヨーロッパ外で開催されるレースの場合には14週前にピレリにタイヤ選択内訳を通知しなくてはならないルールとなっている。つまり、来週末の中国GPで使用するタイヤセットに関しても開幕前に決定されていたことになり、今回のタイヤ選択に関しては前2レースでの経験を盛り込んで行われたものではない。
■【参考】2016年F1タイヤルールの主なポイント
・新たに最も軟らかいウルトラソフトタイヤが登場。ドライタイヤの種類はこれまでの4種類から5種類へと増える。各タイヤの識別色は、ウルトラソフト(紫)、スーパーソフト(赤)、ソフト(黄)、ミディアム(白)、ハード(オレンジ)。
・各レースに持ち込まれるドライタイヤはこれまでの2種類から3種類に。
・ドライバー1名に対して支給されるタイヤは全部で13セット(数はこれまでと同じ)。
・そのうち最も軟らかいタイヤ1セットを予選Q3での使用に向けて温存しておかなくてはならない。
・タイヤサプライヤーのピレリが決勝用の2セットを指定。各ドライバーは決勝中に2種類以上のタイヤを使用しなくてはならないが、ピレリ指定の2セットのうち少なくとも1セットを必ず使用しなくてはならない。
・残りの10セットに関しては、各チームが3種類の中から自由に選択することができる。各チームは所定の期日までに事前にピレリに対して使用したいタイヤセットを申請することになる。
・予選Q3に進出したドライバーは、温存しておいた1セットを使用してQ3を戦わなくてはならない。決勝ではQ2で最速タイムを出したときに履いていたタイヤでスタートしなくてはならない。
・予選Q3に進出できなかったドライバーは、Q3用に温存しておいたタイヤを決勝で使用することが可能となる。
なお、各チームは下記のスケジュールに従って支給されたタイヤのうち一定数をピレリに返却しなくてはならなくなっている。返却するタイヤの種類はチームが自由に決定できることになっているが、これもタイヤ戦略を展開する上でのひとつのポイントとなってくる。
【タイヤ返却のタイミングとセット数】
FP1 開始40分後に1セット
FP1 終了後に1セット
FP2 終了後に2セット
FP3 終了後に2セット
ただし、ピレリが選択した決勝用のタイヤ2セットをフリー走行時に返却することはできず、決勝で少なくともそのうちの1セットを使用しなければならない。さらに、上にも記したように予選Q3まで残ったドライバーはQ3用として指定された最も軟らかいタイヤ1セットを返却しなければならず、Q2での自己ベストタイム計測時に使用していたタイヤを決勝のスタート時に装着しなければならない。Q3に進出できなかったドライバーは、Q3用として指定されていたタイヤを決勝で使用することができる。