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F1開幕戦の優勝争いを盛り上げた新ルール

2016年03月21日(月)20:22 pm

F1オーストラリアGPで見られたメルセデスAMGとフェラーリの優勝争いで影の立役者となったのは、今年から導入された数々の新ルールだった。

2016年から、チームからドライバーに伝えられる情報が厳しく制限された。また、スタートもこれまでと違い1つのクラッチしか使用できなくなった。

ポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)はスタートで失敗し、6番手に後退。3番手スタートのセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)にトップを譲ってしまう。

■ルール変更がスタートの失敗を誘発

メルセデスAMG技術部門のエグゼクティブディレクターであるパディ・ロウは、『Motorsport.com』に次のように説明する。

「おそらく多くの要素が組み合わさってひどくお粗末なスタートにつながったのだと思う。レギュレーションの変更というか再解釈の目的は、スタートをより変動しやすいものにすることだった」

「われわれはまさにそれを目にしたんだ」

「(無線規制も)間違いなく一役買った。以前なら、フォーメーションラップのスタートが悪ければ、スリップがどの程度か見ることができたが、それができなければ大きな影響を及ぼす」

■3種類になったタイヤ選択で戦略の幅が広がる

ベッテルは順調にトップを快走していたが、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)の大クラッシュで赤旗中断になり、レースは振り出しに。

ここで影響したのが、今年からレースで使用できるタイヤが3種類に増えたことだった。赤旗の際は、破片の散らばったコースを走る場合が多いため、中断の間にタイヤを交換することが認められている。

フェラーリは軟らかめのスーパーソフトとソフトタイヤを使い、途中で1回ストップする戦略を取ったのに対し、メルセデスAMGは最も硬いミディアムタイヤで最後まで走り切ることを選び、逆転で1・2フィニッシュを飾った。

ロウは、『Motorsport.com』に次のように話している。

「レースで3つのコンパウンドを使うことは、昨年の中頃にわれわれが奨励して変更された。これによってレースに不確実性と刺激が加わった。それが非常にうまく表れるのを見られたと思う」

■戦略に関しては許可、トラブルの対処は自力で

チームからドライバーへの情報伝達の制限に関しては、決勝の前に一部が緩和された。タイヤ選択とピットインのタイミングについては話し合うことが認められたのだ。

「少なくとも、戦略を話し合うことが認められて良かった」とレッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは語る。

「F1はチームスポーツであり、戦略的な要素は非常に興味深く重要な側面だ」

しかし、マシントラブルが出ても、緊急性がない場合はチームから対処方法などを指示することができない。

優勝したニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)は、レース中盤にブレーキの温度上昇に見舞われていた。ダッシュボードのディスプレーで異常に気付いたロズベルグは自ら対処したとロウは『Motorsport.com』に明かしている。

また、ロズベルグは左リアタイヤの摩耗にも苦しんでいた。

「彼に教えて、左リアをいたわれと言うことはできなかったから、非常に難しい状況だった」とロウは振り返っている。

■ルール変更には反対意見も

無線規制に関して、ベッテルはレース後にこう不満をこぼした。

「僕たちはレースするためにここにいるのであって、記憶ゲームをしているんじゃないと言ってもいいと思う」

「僕はレース中にちょっとしたソフトウェアのトラブルがあった。でも、僕がレース中に苦しんでいても、ファンが特別興奮するわけじゃないよね」

2度のF1チャンピオンであるミカ・ハッキネンは、『Tagesspiegel(ターゲスシュピーゲル)』紙に次のように話している。

「ファンは、あまりにも複雑すぎる、技術的すぎると言っている。人はシンプルなものが好きなんだ」

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