2016年からレース中のF1ドライバーとチームによる無線通信内容がさらに制限されることに対し、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)が、これはF1にとっては時代に逆行することだと懸念を表明した。
■通信制限の狙いはドライバーが主役というイメージ作り
チームとドライバー間でやりとりされる無線通信内容を制限しようという動きは2015年に第一段階が実施されていた。そして今年からはそれがさらに強められることになっており、これによってエンジニアがドライバーをリモートコントロールしているような印象を払しょくしようという狙いがある。
そして、2016年F1開幕戦オーストラリアGP(20日決勝)の開幕を明日に控えた17日(木)にメルボルンで明らかになったことによれば、今年はチームが無線でドライバーに伝えることが許されるのはわずか24項目になるという。天候に関する情報、クルマのダメージに関する情報、そして、ピットストップの指示などは今年も認められるとはいえ、現在の複雑なF1カーでのレースをこなすには、圧倒的に情報が足りないという声もある。
■ドライバーのやることが増えすぎるとハミルトン
今季、3年連続で自身4度目のF1タイトル獲得を目指すルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は、ドライバーの負荷はさらに大きくなるだろうと次のように語った。
「ステアリングホイールに貼られたステッカーに目を落とすことになるだろうね。それ(無線で伝えられる情報)は単にクルマを走らせ続けるためだけのものになってしまうからね」
■通信制限でレースがつまらなくなるとアロンソ
さらに、現在のパワーユニットや公式タイヤサプライヤーであるピレリが供給する現在のF1タイヤに関し、F1のだいご味をうばっていると批判的な持つことで知られるアロンソも、今回の無線禁止強化によって2016年のレースはさらにつまらないものになってしまうだろうと考えている。
「僕は、それ(無線通信)によってドライバーがレースに影響を及ぼすようなものを得られるとは思っていないんだ」
「こうした制限によって、レース戦略は大きく限定されてしまうことになる。事実上、僕たちは会議で決めてあったレース戦略に従うしかなくなる。これはずいぶん昔のやり方だよ」
そう語ったアロンソは、次のように付け加えた。
「彼ら(F1)が進めようとしている方向性は奇妙だよ。今は技術やコミュニケーションが進歩した時代なのに、F1はそれを制限しようとしている。これって、普通のやり方じゃないよね」