今年もメルセデスAMGがまた圧倒的な強さを示すシーズンとなるだろうと考えている者が多い。
だが、F1ドライバーらしからぬライフスタイルを送っているルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が、今年F1タイトル3連覇を果たし、自身4度目のF1王座に就くことができるかどうか疑問だと考えている者も少なくないようだ。
最近、まるでロックスターのように自家用ジェットで世界中を飛び回り、ファッションや音楽の世界にも足を踏み入れているハミルトンに関し、F1チャンピオンとしての自覚に欠けているのではないかと批判する者もいる。
だが、中にはハミルトンに対して好意的な意見を持つ者もいる。
■パフォーマンスさえ落ちなければ関係ないとブルツ
例えば、F1ドライバーによる任意団体であるGPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の会長を務める元F1ドライバーのアレックス・ブルツは、F1ドライバーとしての腕さえ落ちなければ何も問題はないと考えている。
「彼のパフォーマンスが下がらない限り、それはいいことじゃないかな」
かつてベネトンやウィリアムズで活躍したブルツは、『F1 Racing(F1レーシング)』にそう語ると、次のように続けた。
「彼は、自分の富や自家用機やライフスタイルを見せることを選んだけれど、そこには計算が働いていると思う。そうすることによって、彼は世界的スターだという自分の地位を確立しているんだ。それによる(F1への)影響などないと思うよ」
だが、ブルツとは違う見方をしている者も少なくない。
■今のライフスタイルはF1に悪影響を及ぼすだろうとヒル
あるF1チームのボスは匿名で次のように語ったという。
「ルイスはチームメートがロズベルグで幸運だったよ。もしアロンソやベッテル、あるいはリカルドがもう1台のクルマに乗っていたら、そんなことをするひまはなかっただろうからね」
このコメントは現役復帰を果たしたチームメートのミハエル・シューマッハを常に上回る成績を残したロズベルグに対して失礼だとも思うが、1996年のF1チャンピオンであるデーモン・ヒルも、ハミルトンが昨年大きくロズベルグに差を付けて早々と第16戦アメリカGPでタイトル獲得を決めてから、パーティーざんまいの生活を送るようになり、それ以降はロズベルグに連敗を喫することになった事実を指摘している。
「昨年、彼はある時点で、レースの合間にいろんなところへ行ったというツイートを始めたんだ。そのとき思ったよ。“なんてことだ、これはまずいぞ”とね」
そう述べたヒルは、次のように付け加えた。
「それはレースの前だったんだが、思った通り、ニコが彼に勝ったよ」
■ライフスタイルが打撃となる可能性もあるとクルサード
元F1ドライバーのデビッド・クルサードも、さまざまなところに顔を出しているハミルトンが、いざレースが始まったときに本当に戦える状態になるのかどうか疑問を感じている1人だ。
「昨年2連覇を果たした実力があるハミルトンが、またタイトルがとれるかどうかという疑問を抱くのはおかしな話だよ。だが、彼のエネルギーがどこに注がれているのかが問題なんだ」
『Mirror(ミラー)』にそう語ったクルサードは、次のように付け加えた。
「今年はそれ(ライフスタイル)が打撃を与える年になるかもしれないね」
■ハミルトンの才能は計り知れないとの意見
だが、中には、現在のF1カーがそれほど肉体的な負担なく走ることができるものになっているため、ハミルトンもF1で強さを発揮しつつ、そのほかの部分にも意識を向けることができるのだと考えている者もいる。
「もし、それが影響を及ぼすとしたら、彼は自分のライフスタイルを変えて、調子を上げることができると思うよ」
そう語ったあるF1関係者は、次のように付け加えた。
「彼が驚異的な才能の持ち主だという事実を忘れてはならないよ。そして、彼は自分のことがよく分かっている。だから、彼はまた以前のような状態に戻す必要があることも分かっているし、また強さを見せるよ」