F1公式タイヤサプライヤーであるピレリが、2016年のF1開幕戦オーストラリアGP(20日決勝)において各ドライバーが選択したドライタイヤの内訳を発表した。
今年からドライタイヤの運用に関するルールが変更されている。その主なポイントは次のようなものだ。
■新タイヤルールの主なポイント
・新たに最も軟らかいウルトラソフトタイヤが登場。ドライタイヤの種類はこれまでの4種類から5種類へと増える。各タイヤの識別色は、ウルトラソフト(紫)、スーパーソフト(赤)、ソフト(黄)、ミディアム(白)、ハード(オレンジ)。
・各レースに持ち込まれるドライタイヤはこれまでの2種類から3種類に。
・ドライバー1名に対して支給されるタイヤは全部で13セット(数はこれまでと同じ)。
・そのうち最も軟らかいタイヤ1セットを予選Q3での使用に向けて温存しておかなくてはならない。
・タイヤサプライヤーのピレリが決勝用の2セットを指定。各ドライバーは決勝中にそのうち少なくとも1セットを使用しなくてはならない。
・残りの10セットに関しては、各チームが3種類の中から自由に選択することができる。各チームは所定の期日までに事前にピレリに対して使用したいタイヤセットを申請することになる。
・予選Q3に進出したドライバーは、温存しておいた1セットを使用してQ3を戦わなくてはならない。決勝ではQ2で最速タイムを出したときに履いていたタイヤでスタートしなくてはならない。
・予選Q3に進出できなかったドライバーは、Q3用に温存しておいたタイヤを決勝で使用することが可能となる。
■F1オーストラリアGPでのタイヤ選択
上記ルールに伴い、ピレリはオーストラリアGPにおいてミディアム、ソフト、スーパーソフトの3種類のタイヤを持ち込み、そのうちミディアム1セット、ソフト1セットを決勝用に指定している。各ドライバーは決勝中に少なくともそのうちの1セットを使用しなくてはならない。また、スーパーソフト1セットを予選Q3用として温存しておくことが必要となる。
各ドライバーは、それ以外の10セットは自由に選択でき、事前にピレリに申請することが必要となるが、開幕戦オーストラリアGPではそれぞれ以下のような選択を行ったことが明らかとなった。
ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG) ミディアム(1)、ソフト(6)、スーパーソフト(6)
ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG) ミディアム(2)、ソフト(5)、スーパーソフト(6)
セバスチャン・ベッテル(フェラーリ) ミディアム(2)、ソフト(5)、スーパーソフト(6)
キミ・ライコネン(フェラーリ) ミディアム(2)、ソフト(5)、スーパーソフト(6)
バルテリ・ボッタス(ウィリアムズ) ミディアム(1)、ソフト(5)、スーパーソフト(7)
フェリペ・マッサ(ウィリアムズ) ミディアム(1)、ソフト(5)、スーパーソフト(7)
ダニエル・リカルド(レッドブル) ミディアム(2)、ソフト(4)、スーパーソフト(7)
ダニール・クビアト(レッドブル) ミディアム(2)、ソフト(4)、スーパーソフト(7)
ケビン・マグヌッセン(ルノー) ミディアム(1)、ソフト(5)、スーパーソフト(7)
ジョリオン・パーマー(ルノー) ミディアム(1)、ソフト(5)、スーパーソフト(7)
ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア) ミディアム(2)、ソフト(5)、スーパーソフト(6)
セルジオ・ペレス(フォース・インディア) ミディアム(2)、ソフト(5)、スーパーソフト(6)
マックス・フェルスタッペン(トロロッソ) ミディアム(2)、ソフト(4)、スーパーソフト(7)
カルロス・サインツ(トロロッソ) ミディアム(2)、ソフト(4)、スーパーソフト(7)
フェルナンド・アロンソ(マクラーレン) ミディアム(1)、ソフト(5)、スーパーソフト(7)
ジェンソン・バトン(マクラーレン) ミディアム(1)、ソフト(5)、スーパーソフト(7)
マーカス・エリクソン(ザウバー) ミディアム(1)、ソフト(6)、スーパーソフト(6)
フェリペ・ナッセ(ザウバー) ミディアム(2)、ソフト(5)、スーパーソフト(6)
パスカル・ヴェアライン(マノー) ミディアム(4)、ソフト(4)、スーパーソフト(5)
リオ・ハリアント(マノー) ミディアム(4)、ソフト(4)、スーパーソフト(5)
ロマン・グロージャン(ハース) ミディアム(1)、ソフト(5)、スーパーソフト(7)
エステバン・グティエレス(ハース) ミディアム(2)、ソフト(4)、スーパーソフト(7)
これを見ると、チームごと、ドライバーごとにどういうタイヤ戦略でオーストラリアGPに臨もうとしているのかが少しかいま見えてくる。多くのチームが、2人のドライバーが同じタイヤの種類を選択しているが、メルセデスAMG、ザウバー、ハースの3チームだけが、ドライバーによって選択内容が異なっていることにも注目だ。
なお、各チームは下記のスケジュールに従って支給されたタイヤのうち一定数をピレリに返却しなくてはならなくなっている。返却するタイヤの種類はチームが自由に決定できることになっているが、これもタイヤ戦略を展開する上でのひとつのポイントとなってくる。
【タイヤ返却のタイミングと数量】
FP1 開始40分後に1セット
FP1 終了後に1セット
FP2 終了後に2セット
FP3 終了後に2セット
ただし、ピレリが選択した決勝用のタイヤ2セットをフリー走行時に返却することはできず、決勝で少なくともそのうちの1セットを使用しなければならない。さらに、上にも記したように予選Q3まで残ったドライバーはQ3用として指定された最も軟らかいタイヤ1セットを返却しなければならず、Q2での自己ベストタイム計測時に使用していたタイヤを決勝のスタート時に装着しなければならない。Q3に進出できなかったドライバーは、Q3用として指定されていたタイヤを決勝で使用することができる。