F1では、今後2017年をめどにドライバーの頭部保護装置をF1カーに導入することを目指しており、現時点ではた「ハロー方式」と呼ばれる装置が有力候補となっている。
だが、この試作品がバルセロナで行われたF1公式シーズン前テスト2回目に登場したときには、その見た目の問題なども含め、ファンやF1ドライバーたちから批判的な声があがるという状況になっている。
■F1ドライバーよ、ヒーローであれ
かつてウィリアムズやマクラーレン、そしてレッドブルで活躍した元F1ドライバーであり、現在は放送ビジネスを展開しているデビッド・クルサードもそうした反対派に属する1人であることは間違いないようだ。
この頭部保護装置導入に関しては、F1ドライバーたちの間でも意見が分かれているのが現状だ。例えば、フォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグやメルセデスAMGのルイス・ハミルトンは反対派に属しており、レッドブルのダニエル・リカルドやメルセデスAMGのニコ・ロズベルグは肯定派だ。
最近、「F1カーのコックピットはオープンであるべきだ」と主張するヒュルケンベルグに対し、リカルドが「安全性を犠牲にしてまでヒーローになる必要はない」と反論したことなども報じられている。
だが、クルサードは、F1ドライバーというものは実際のところ、そういうヒーローであるべきだと主張している。
「人生に危険はつきものなんだ」
■これ以上の安全対策はF1の本質をゆがめる
『Daily Mail(デイリー・メール)』にそう語ったクルサードは、次のように続けた。
「仮に、今F1が発明され、ドライバーたちが何かで包み込まれていてけがを負うことなどありえないというものになっていれば素晴らしいということになっただろうね。だけど、今彼ら(F1)がやろうとしていることにみんなが驚嘆するようなことはないだろうと思うよ。すでに危険性はこれまでかなり取り除かれてきていたんだからね」
クルサードも、ジュール・ビアンキやジャスティン・ウィルソンが頭部に受けたけがによってこの世を去ってからまだ日が浅いだけに、この話題に関してそうした見解を述べることはかなり「微妙な問題」であることは分かっていると認めている。
しかしそれでも、クルサードは次のように付け加えた。
「F1カーをトラックほどの大きさにして、ドライバーは世界一安全なエアバッグに囲まれながら、その真ん中に座るようにすべきだと考えたほうがいいかな? 僕自身は、そんなふうには思わないよ」